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BtoB企業のための海外向けリスティング広告ガイド|成果を出す実践ポイントと注意点

BtoB企業のための海外向けリスティング広告ガイド|成果を出す実践ポイントと注意点

国内市場の縮小や競争の激化を背景に、海外展開を視野に入れるBtoB企業が増えています。しかし、実際に海外での販路を開拓するには、言語・文化・商習慣の違いなど、乗り越えるべき課題が多く存在します。

特に多くの企業が直面するのが、「どうやって海外の見込み顧客に自社の存在を知ってもらうか」という点です。展示会や現地営業も有効ですが、コストや時間がかかり、効率的とは言えません。

そこで注目されているのが、「海外向けのリスティング広告」です。検索エンジンを活用して、関心の高いユーザーにピンポイントでアプローチできる、費用対効果の高い施策として活用が進んでいます。

海外向けリスティング広告とは?

リスティング広告とは、GoogleやBingなどの検索エンジンにおいて、ユーザーが入力したキーワードに応じて表示される広告のことです。
海外向けリスティング広告とは、その配信対象を日本国外に設定し、現地の言語・地域・検索エンジンの特性に合わせて展開する広告手法を指します。

海外向けのリスティング広告を行う上で考慮すべきことは以下の通りです。

  • 言語対応:キーワード・広告文・ランディングページの翻訳が必要
  • 地域設定:国や都市レベルでのターゲティングが必要
  • 検索行動の違い:検索エンジンのシェアや使用方法が国ごとに異なる

例えば、英語圏であればGoogle広告が有効ですが、中国ではBaidu、韓国ではNaverへの広告出稿も検討すべきです。

海外向けリスティング広告のメリット

海外市場をターゲットとしたリスティング広告には、その他のマーケティング活動とは異なる独自の強みがあります。以下では、海外展開を目指すBtoB企業にとっての具体的なメリットを紹介します。

海外の見込み顧客に即時アプローチできる

海外のビジネスパーソンは、課題解決のために検索エンジンを積極的に活用する傾向があります。リスティング広告を通じて、「今まさに情報を探している海外の見込み顧客」に対し、タイムラグなく製品・サービスを訴求することが可能です。特に展示会などのオフライン施策に比べ、オンラインでスピーディにリードを獲得できるのが大きな強みです。

国・地域・言語を細かく指定できる

Google広告などでは、広告の配信対象を国・地域・言語ごとに柔軟に設定できます。たとえば、「英語圏の中でも北米のみ」「アジア圏のうちタイ語・ベトナム語を話す地域」といった形で精緻なターゲティングが可能です。さらに業種別のキーワードを掛け合わせることで、自社と親和性の高い海外企業にピンポイントでアプローチできます。

例えば、東南アジア向けに工作機械や部品加工サービスを展開する場合、「タイ語・ベトナム語ユーザー」かつ「バンコク・ホーチミンなど主要工業都市」への広告配信を行い、「短納期対応」「ISO認証取得済」などの訴求を盛り込むことで、現地企業の関心を引きやすくなります。

展示会・海外営業よりも効率よく広範囲にアプローチできる

従来の海外販路開拓では、現地への営業派遣や展示会への出展など、多大なコストと時間、人材といったリソースが求められました。一方、海外向けリスティング広告は、少額から配信をスタートできるため、初期投資を抑えて広範囲にアプローチすることが可能です。また、テスト配信による反応の可視化も容易なため、施策の改善や判断もスピーディに行えます。

例えば、自社の英語版カタログページやフォームに直接誘導し、現地販売店や商社からの問い合わせを獲得することが可能です。

海外向けリスティング広告で成果を出すための実践ポイントと注意点

海外向けリスティング広告で成果を上げるには、単に広告を出稿するだけでなく、「誰に・どこで・どう訴求するか」を明確にし、それに基づいた段階ごとの設計と対応が重要です。以下の実践ポイントを押さえることで、精度の高い集客とリード獲得につながります。

ターゲット国・地域の明確化と選定基準

第一のステップは、「どの国・地域をターゲットにするか」を明確にすることです。安易に“英語圏だから”と一括りにせず、自社の製品・サービスに合致するエリアを見極める必要があります。

選定時には、以下のような多角的な視点からの市場調査が欠かせません。

  • 市場規模と成長性:対象国における該当業界の規模、今後の成長見込みは十分か
  • 購買層の属性:BtoBであれば、どの業種・職種・職能レベルがターゲットとなるか
  • 競合状況:現地に同様の製品・サービスを展開している企業はどの程度存在するか
  • 検索エンジンのシェア:Googleが主流なのか、Bing・Baidu・Naverなど現地特有の検索エンジンが使われているか

このような情報をもとに、より費用対効果の高いマーケットを選定することが、後の広告設計にも直結します。

「ベアリング」をGoogle広告を使ってPRする場合
〜日本、アメリカ、タイ、ベトナムでの比較〜

■日本

ベアリング 日本

「ベアリング」で検索結果上部に掲載したい場合の入札単価(1クリック)は139円。月間検索回数は、33,100回。(他のキーワードも含めると37,590回)

■アメリカ

ベアリング アメリカ

英語以外の言語ではほとんど検索がない。検索結果上部に掲載したい場合の入札単価は日本の約4.4倍。検索需要は日本の約1.8倍。

■タイ

ベアリング タイ

現地語なら入札単価は日本の約0.6倍。検索需要も約0.6倍。英語での検索も多い。そのため、英語のLPを作成して、英語でリスティング広告を出稿することも可能。ベトナム語での検索需要はほぼ無いため、隣国だからと言ってベトナム語のLPを作成してタイに広告を配信してもクリックが得られない。

■ベトナム

ベアリング ベトナム

現地語なら入札単価は日本の約0.6倍。こちらもタイと同様に英語での検索が多い。しかし、検索需要は5倍ほど違う。例えば、タイとベトナムのどちらかにリスティング広告を検討している場合、タイの方が需要が多く、広告が表示できる機会も多い。(その分、費用もかかる)

リスティング広告を展開する際、配信地域や選定する言語によってクリック単価(CPC)や検索需要が大きく異なるため、事前の綿密な調査が不可欠です。

広告キャンペーン構成と出稿媒体の選定

国や業界によって、検索エンジンのシェアや広告配信先の特徴が大きく異なるため、以下のような媒体選定が重要です。

媒体特徴
Google広告グローバルで最も広く使われる。検索・ディスプレイ・YouTube等多様な面に配信可能
Microsoft広告(Bing)欧米で根強い利用。製造・建設業など特定業界で高い反応が得られることも
Baidu広告中国市場をターゲットにする場合は必須。検索習慣や検閲対応が求められる
Naver広告韓国市場向け。Googleと使い分けが必要

ターゲット国に応じて適切な媒体とキャンペーン構成(検索連動型・ディスプレイ型など)を選ぶことが成功の鍵です。

適切なキーワードと広告文の選定(ネイティブ翻訳の重要性)

海外向けリスティングで成果を出すには、機械翻訳に頼らず、文化的背景や言語習慣を踏まえたネイティブ視点での表現が不可欠です。

  • キーワードの選定:業界用語や検索傾向を反映したキーワード設計が必要です。日本語の直訳では意味が通じなかったり、検索されなかったりする場合もあります。
  • 告文の訴求ポイントのローカライズ:日本では「高品質」が重要でも、ある国では「納期遵守」や「導入のしやすさ」が評価される場合があります。市場ニーズに即した訴求が重要です。

配信スケジュールと時間帯の最適化

配信タイミングは、ターゲット国の時差・休日・ビジネス習慣を考慮する必要があります。

  • 現地の営業時間帯に絞って配信することで、無駄な表示を避けられます。
  • 現地の祝日や週末を避け、ターゲットのビジネスタイムに配信するなど、配信効率を高める工夫が効果的です。

ランディングページ(LP)の最適化

広告で関心を持たせても、受け皿となるランディングページが適切でなければ成果にはつながりません。特に海外ユーザーに向けたページでは、「言語の違い」以上に「信頼性」や「文化的な親和性」が問われます。

  • 多言語対応と翻訳品質:単なる直訳ではなく、現地ユーザーが違和感なく読める自然な表現が求められます。翻訳の精度が低い場合、「この会社は本当に信頼できるのか?」と不安を与えてしまい、離脱やCV率の低下を招く可能性があります。ネイティブチェックやプロ翻訳を導入することで、ビジネスの信頼性を高めましょう。
  • ローカライズ要素:通貨、電話番号、連絡手段(WhatsApp、WeChatなど)を現地に合わせることでコンバージョン率が向上します。
  • デザインとUX:信頼感を与えるデザイン、スマホ対応、問い合わせ導線の明確さが重要です。特に初訪問のユーザーが直感的に使えることがポイントです。

法規制・文化的背景への対策

海外向けリスティング広告を実施する際には、ターゲット国・地域の法規制や文化的・宗教的背景を十分に理解し、それに基づいた対応を行うことが欠かせません。これを怠ると、広告停止やブランドイメージの毀損といったリスクにつながる可能性もあります。

  • EU圏のGDPR(EU一般データ保護規則)への対応
    EU市場でBtoB取引を進める際も、顧客情報の取り扱いや広告配信の同意取得に関するGDPR遵守が不可欠です。例えば、リード獲得フォームの設計時に適切な同意確認を組み込み、顧客のプライバシー保護に配慮した運用が求められます。
  • 中国のBaidu広告に関する制限と申請
    中国市場を狙う場合、BtoB企業でもBaidu広告の利用には政府による申請・許認可が必要となるケースがあります。また、中国特有の広告規制も存在するため、専門的なサポートや現地パートナーの活用が推奨されます。
  • 中東諸国の文化・宗教的配慮
    BtoB商談や取引においても、文化や宗教上のタブーに配慮した表現や広告運用が重要です。例えば、宗教行事(礼拝)を考慮した配信スケジュール調整など、現地の文化背景を踏まえた訴求設計を行いましょう。

カスタマーサポート体制の整備

広告の効果を最大化するには、その後の対応体制も重要です。

  • 言語対応:英語のみならず、ターゲット国の言語での対応が望ましい。(ただし、スモールスタートを検討している場合は、英語のランディングページ(LP)と英語での対応から始めることも、マーケティング戦略として適切です。)
  • 対応スピード:問い合わせからのレスポンス速度も信頼性に直結します。
  • 体制の整備:海外からの問い合わせに即応できる人材・体制の確保が必要です。

明確な目的設定とKPI設計

海外向けリスティング広告は、単にトラフィックを増やすためではなく、「現地の見込み顧客をリードとして獲得すること」が目的です。そのため、事前に以下を明確にしましょう。

  • 誰に届けたいか(企業規模、業種、役職)
  • どのような価値を提供するか(製品の差別化要因)
  • 何をゴールとするか(例:資料請求、問い合わせ、見積依頼、デモ申し込み)

目的が明確であれば、広告設計・LP構成・KPI管理も一貫性を持って進められます。

配信後の運用ポイント(成果最大化のためのチューニング)

広告は出稿して終わりではなく、運用フェーズでの改善が成果を大きく左右します。

  • 国・地域別のパフォーマンス分析
    クリック率(CTR)・コンバージョン率(CVR)・CPAなどの指標を国ごとに分析し、配信予算や訴求ポイントを最適化しましょう。
  • 検索語句レポートの活用
    ユーザーが実際に検索した語句を確認し、成果につながらないキーワードを除外(ネガティブキーワード)したり、新たなニーズを発見してキーワードを追加することで、無駄なコストを削減しましょう。
  • ランディングページの改善
    特定の国からの離脱率が高い場合、言語表現・導線・表示速度・レスポンシブ対応などを見直し、コンバージョン率の改善を図りましょう。
  • 文化・ニーズに基づく訴求軸の再検討
    一律の設定では効果が頭打ちになります。ターゲット国ごとに広告文・キーワード・配信時間などをカスタマイズする姿勢が重要です。

このように、ターゲット選定から配信後の改善までを一貫して戦略的に行うことが、海外向けリスティング広告で成果を出すための鍵となります。

まとめ〜次のアクション

海外向けリスティング広告は、BtoB企業がグローバル市場で新たな顧客層にリーチするための強力な武器です。しかし、効果を最大化するためには、事前のリサーチと戦略設計が欠かせません。

  • ターゲット国・地域の選定と市場調査
  • 文化や言語に配慮した広告・LP設計
  • 適切な媒体選びと運用後の継続的な改善

まずは少額からテスト配信を行い、効果検証を重ねながら段階的に拡大していくアプローチが、リスクを抑えつつ成果を伸ばすポイントです。

また、自社だけでの対応が難しい場合は、海外広告運用に実績のあるパートナーやコンサルティング会社の活用も有効な選択肢です。

さらに、海外向けのSEO対策を並行して進めることで、広告以外の流入経路も強化できます。中長期的な集客戦略を検討中の方は、以下のページもぜひご覧ください。

海外向けSEO対策については、こちらの記事をご覧ください。

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