以前の投稿では、Googleが提供する新たな検索体験「SGE(Search Generative Experience)」についてご紹介しました。そして2024年5月、Googleは試験提供していたSGEをさらに進化させた正式機能として、「AI Overview」をリリースしました。
今回は、この本格的に展開が始まったAI Overviewの特徴や注目すべきポイント、そしてSEO対策に求められる考え方の変化について解説します。
SGEについては、こちらのページで紹介しています。 関連記事 Googleは2023年5月に開催されたGoogle I/Oにて、新たな検索体験として「SGE」という言葉を発表しました。AIやSEO関連の情報収集をしている方は興味のある方も多いのではないでしょうか。そこで今回は、SGEについて知[…] |
AI Overviewとは
AI Overviewとは、Googleが検索結果に導入している生成AIによる要約表示機能です。
- ユーザーが検索したキーワードに対して、検索結果ページの最上部に「AIがまとめた情報(概要)」が表示されます。
- 複数のWebページを参照して、関連情報を要約した自然な文章を生成します。
- 回答の元になったページへのリンクも表示されます。
「BtoBマーケティング」での検索結果例 |
AI Overviewのポイント
以下にAI Overviewのメリットやポイントを紹介します。
検索結果の“答え”を一瞬で要約
AI Overviewは、ユーザーの検索意図をAIが理解し、複数のWebページから関連情報を抽出・統合して要約を提示します。従来のように複数のページを開いて情報を比較・整理する時間や手間を大幅に削減することができます。
複雑な質問や調査ニーズにも柔軟に対応
AI Overviewは、「○○のメリットとデメリットは?」「○○と××の違いを比較して」「○○を始めるには何が必要?」といった、抽象的で多面的な質問や専門性が高く比較が難しいテーマに対しても、AIが文脈を理解し、関連情報を包括的かつ整理された形で提示します。
追加質問にも対応した会話型の検索体験
AI Overviewでは、検索体験が従来の「一問一答型」から、コンテキストを保持した「会話型」へと進化しています。ユーザーは、「もう少し詳しく教えて」といった追加の質問をそのまま続けて入力でき、前のやり取りの文脈を保ったまま、情報を自然に深掘りしていくことが可能です。
情報の出典元も明記
AIが生成した回答には、参照元となったWebページのリンクがあわせて表示されます。ユーザーは情報の出どころをすぐに確認でき、信頼性の判断や詳細の確認もスムーズに行えます。必要に応じて、出典元のサイトへ直接アクセスできる点も大きな利便性の一つです。
AI OverviewとSEOの関係性
AI Overviewは、ユーザーが求める情報へ瞬時にアクセスできるよう設計されており、Google検索における「ゼロクリック体験」をさらに進化させた形です。この機能は、特にBtoBマーケティングにおいて、SEO戦略の方向性に大きな影響を与える可能性があります。
※ゼロクリック体験:AI Overviewのような「ゼロクリック体験」とは、ユーザーが検索結果ページをクリックせずに答えを得ることができる状態を指します。AIが情報を要約してトップに表示するため、ユーザーはリンクをクリックする必要がなくなるケースが増えるのです。
AI Overviewによって、SEOは必要なくなるのか?
結論から言うと、SEOが完全に不要になるわけではありませんが、従来のSEO対策だけでは通用しにくくなります。
自然検索からの流入は減少する可能性がある
AI Overviewに要約された情報が検索結果のトップに表示されると、ユーザーはその情報だけで満足し、リンクをクリックせずに離脱するケースが増えると考えられます。その結果、たとえ検索結果で上位に表示されていても、オーガニックリンクのクリック率が低下する可能性は高いと言えるでしょう。
特に、「○○とは?」「定義」「How-to」といった情報収集型のキーワードはAIによる要約の対象になりやすく、影響を受けやすい領域です。これまで、こうしたキーワードから安定的な流入を得ていたBtoB企業のサイトは要注意です。
SEO戦略の今後の方向性
情報の“提供元”として選ばれることが重要に
AI Overviewの登場により、「SEOは不要になるのでは?」という声もありますが、実際にはSEOの価値はむしろ高まると考えられます。
なぜなら、AI Overviewが提示する回答の多くは、既存のWebページを情報源として要約されたものだからです。
つまり、AIに出典元として選ばれることができれば、ブランドの認知拡大や専門性のアピールにつながる可能性が高くなるのです。
このため、E-E-A-T(Experience/Expertise/Authoritativeness/Trustworthiness)を意識した高品質コンテンツの重要性は、これまで以上に高まっていくと言えるでしょう。
Googleは公式に、質の高いコンテンツを評価する要素としてE-E-A-Tの考え方を示しています。
Googleの自動システムは、さまざまな要因に基づいて優れたコンテンツをランク付けするように設計されています。関連するコンテンツを特定した後、最も役に立つと判断されたコンテンツに高い優先順位を付けます。そのために、どのコンテンツが、エクスペリエンス(Experience)、高い専門性(Expertise)、権威性(Authoritativeness)、信頼性(Trustworthiness)、すなわち E-E-A-T の面で優れているかを判断するための要素の組み合わせを特定します。
AI Overviewに選ばれるコンテンツの条件
以下のような特性を持つコンテンツが、AIによって参照されやすい傾向にあります。
- 明快で論理的な構成、構造化された文章(情報構造・FAQ・箇条書きの最適化が重要)
- ユーザーの疑問や検索意図に的確に答えている
- 高い信頼性や専門性を備えた一次情報(特にBtoB領域で重要)
まとめ
AI Overviewの普及により、従来の「検索順位を上げること」だけを目的としたSEOは、徐々にその効果が薄れていく可能性があります。
しかし一方で、AIに参照される情報提供元として選ばれるためのSEOは、むしろその価値を高めていくと言えるでしょう。
これまで主にコンバージョン獲得を重視していたSEOに加えて、認知拡大・ブランド信頼の構築・中長期的なナーチャリングといった視点が、今後ますます重要になります。
つまり、SEOの必要性がなくなるのではなく、その意味と目的が進化していくということです。
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