GA4(Google アナリティクス 4)のディメンションとは、データを分類・グループ化するための基準や属性のことです。簡単に言うと、データを特定の方法で整理するための「ラベル」のようなものです。
今回はディメンションの種類とその活用方法について解説します。
GA4(Google Analytics 4):Googleが提供する無料のWeb解析ツール。Webサイトやアプリの訪問者数、ユーザーの行動、コンバージョン(目標達成)などのデータを収集・分析し、サイト運営者がパフォーマンスを把握し、改善するための情報を提供する。 |
ディメンションとは
GA4で収集されるデータには、ユーザーが訪問したページ、訪問元の地域、使用したデバイス、参照元のサイトなど、さまざまな情報があります。それぞれの情報は「ディメンション」として表され、これらを使って詳細なレポートや分析を行います。
例えば、以下のようなディメンションがあります。
- ユーザー属性(年齢、性別、地域)
- イベント(特定のアクションやイベント)
- 参照元(トラフィックの発生元URLやメディア)
- デバイス情報(デバイスカテゴリ、オペレーティングシステム)
※指標:Webサイトやアプリのパフォーマンスを測定するための数値的なデータのこと
ディメンションの種類
GA4(Google アナリティクス 4)のディメンションは、収集されるデータを分類するための「ラベル」として使われ、レポートや分析でデータを整理し、洞察を得るのに非常に重要です。GA4には、デフォルトでいくつかのディメンションが用意されており、さらにカスタムディメンションを追加することもできます。
参照元:アナリティクス ヘルプ – [GA4] 事前定義されたユーザー ディメンション
ユーザーに関連するディメンション
ユーザーの特性や行動に関連するディメンションで、特定のユーザー層のパフォーマンスを分析できます。
- 年齢:ユーザーの年齢層
- 性別:ユーザーの性別
- 地域:ユーザーが訪問した地域(国、都市など)
- 言語:ユーザーが使用している言語
- 新規ユーザー / リピーター:新規とリピーターのユーザーを区別
- デバイスカテゴリ:ユーザーが利用しているデバイス(デスクトップ、モバイル、タブレット)
- オペレーティングシステム:ユーザーのデバイスが使用しているOS(iOS、Android、Windows、Macなど)
イベントに関連するディメンション
イベントトラッキングに関連するディメンションで、特定のアクションやインタラクションを分析できます。
※GA4におけるイベントとは、Webサイトやアプリに訪問したユーザーの行動データを測定したものです。
- イベント名:発生したイベントの名前(例:page_view、scroll など)
- ページビュー数:各ページがどれだけ閲覧されたか
- ページタイトル:ユーザーが訪問したページのタイトル
- ページパス:ユーザーが訪問したページのURLパス(URLのドメインを除いた部分)
- コンテンツタイプ:ページやコンテンツの種類(例:ブログ記事、商品ページ、ランディングページ など)
トラフィックの発生源に関連するディメンション
トラフィックの発生元や参照元に関するディメンションです。
- トラフィックの参照元(source):ユーザーが最初にアクセスしたサイト(例:google、yahoo、bing など)
- トラフィックのメディア(medium):トラフィックの種類(例:organic、cpc、email など)
- キャンペーン名(campaign):特定の広告キャンペーンやマーケティング施策名
- 参照元のページ(referral):トラフィックをもたらした他のWebページ(参照元URL)
時間に関連するディメンション
時間に関連するデータを分析するためのディメンションです。
- 日付:ユーザーの訪問日時
- 曜日:ユーザーが訪問した曜日(例:月曜日、火曜日)
- 時間帯:ユーザーが訪問した時間帯(24時間制)
- 年:訪問の年
- 月:訪問の月
ディメンションの設定方法
GA4では、標準で提供されるディメンションだけでなく、独自にカスタムディメンションを設定することで、特定のユーザー行動やWebサイトパフォーマンスを測定するための独自データを収集できます。
カスタムディメンションの設定方法
カスタムディメンションを設定するには、GA4で「カスタム定義」を設定し、Webサイトやアプリのタグに適切なパラメータを追加する必要があります。
参照元:アナリティクス ヘルプ – [GA4] カスタム ディメンションとカスタム指標について
以下は、GA4でカスタムディメンションを設定する手順です。
[管理] > [プロパティ設定] > [データの表示] で [カスタム定義] を選び、[カスタム ディメンション]をクリックすします。ディメンション名 | このディメンションの名前を設定します。 |
範囲 | ディメンションが「ユーザー」「イベント」など、どの範囲で集計されるかを選択します。 |
イベントパラメータ | カスタムディメンションを設定するための元データとなるイベントパラメータを指定します。例えば、「product_name」というパラメータを持つイベントを追跡している場合、そのパラメータをカスタムディメンションに設定できます。 |
カスタムディメンションのデータ送信設定
GA4のカスタムディメンションを活用するためには、Google タグマネージャー(GTM)を使用して、カスタムディメンションを設定し、GA4にデータを送信する必要があります。
- まず、GA4側でカスタムディメンションを設定しておきます。
- 次に、Google タグマネージャーで、GA4にデータを送信するタグを作成します。Google タグマネージャーにログインし、該当するコンテナを選択します
- 新しいタグの作成
新しいタグを作成します。タグの種類として「Google アナリティクス: GA4 イベント」を選択します。 - タグ設定
・「イベント名」を入力します。
・「イベントパラメータ」として、送信したいカスタムディメンションのデータを追加します。
例えば、ユーザー属性や特定のカスタムデータを送信したい場合、以下のように設定します。
・パラメータ名(ディメンション名:「custom_dimension_name」)
・値(ページビューやフォームデータなど、送信したい値に応じたGoogle タグマネージャーの変数を追加します) - トリガー設定
どのイベントに対してカスタムディメンションを送信するかを決定します。例えば、特定のページビューやボタンのクリック時に送信する場合は、それに合ったトリガーを設定します。 - タグの公開
設定したタグとトリガーを保存したら、「公開」ボタンをクリックして、変更をサイトに反映させます。
ディメンションの活用方法
ディメンションはデータを「分類」や「分解」するために使うもので、レポートに追加することで、より詳細なユーザー行動を把握できます。GA4では、「探索」機能や「標準レポート」にディメンションを追加して活用することができます。
ディメンションを適切に活用することで、例えば以下のような分析が可能です。
- ユーザーの地域別の訪問数を調べて、特定の地域でのマーケティング施策の効果を確認。
- デバイス別のページビュー数を比較して、デスクトップユーザーとモバイルユーザーの行動の違いを分析。
- 検索広告ごとのコンバージョン数を確認し、どのキャンペーンが最も効果的に成果を上げているかを把握する。
- トラフィックの参照元を見て、どの広告やサイトからのトラフィックが多いかを分析し、次の施策に活かす。
※Google アナリティクス4(GA4)において、「コンバージョン」は「キーイベント」に名称変更されました。
標準レポートでディメンションを活用する方法
GA4には、いくつかの標準レポートが用意されていますが、これらのレポートにもディメンションを追加してカスタマイズできます。
- 左のメニューから[レポート]を選択します。
- レポート内の既存のセクション(例:[ライフサイクル] > [ユーザー獲得])を選びます。
- レポートの上部にある[フィルタを追加]ボタンをクリックします。
- ディメンション(例:地域、デバイス、ブラウザなど)を選び、追加します。
- 追加後、データが更新され、選択したディメンションでセッションやユーザーの詳細を確認できます。
探索レポートでディメンションを活用する方法
「探索」機能を使えば、より詳細かつ柔軟にディメンションを活用できます。探索レポートでは、ディメンションや指標の両方を自由に組み合わせて、より詳細で柔軟なカスタムレポートを作成できます。
- 左のメニューから[探索]を選択し、目的に応じたレポートタイプを選択します。
- 画面左側にある[ディメンション]セクションで、利用可能なディメンションを確認できます。必要なディメンションを[行]や[列]に追加します。
- [指標]セクションで、表示する指標(セッション数、コンバージョン数、直帰率など)を追加します。
- ディメンションと指標を自由に組み合わせて、カスタムレポートが生成されます。
例:「地域」ディメンションを使用して、どの地域からの訪問者が多いのかを確認する。「デバイスカテゴリ」ディメンションを使用して、モバイル、デスクトップ、タブレットのパフォーマンス比較する。 - レポートが表示され、選択したディメンションごとのデータがグラフや表で視覚化されます。
ディメンションをフィルタリングに活用する方法
GA4のレポートや探索レポートでは、ディメンションをフィルターとして使ってデータを絞り込むことで、特定の条件下でのユーザー行動を分析することができます。
- 画面左側にある[フィルタ]セクションに、使用したいディメンション(例:地域、デバイスカテゴリ、イベント名など)を追加します。
- 選択したディメンションに基づいて、特定のデータを表示します。例えば、特定の地域やデバイスをフィルタリングして、そのグループのパフォーマンスを調べることができます。
ディメンションをセグメントとして活用する方法
ディメンションを「セグメント」として設定し、特定のユーザーグループに絞った分析を行うこともできます。セグメントは、特定の条件を満たすユーザーを抽出するためのフィルターで、レポート内で比較することができます。
- 「探索」レポート内で、「セグメントを追加」ボタンをクリックします。
- 使用するディメンション(例:地域、デバイスカテゴリ)を選び、条件を設定します。例えば、「モバイルユーザーのみ」「東京からの訪問者」などに絞ることができます。
- セグメントを追加すると、特定のユーザーグループに対するパフォーマンスを他のグループと比較することができます。
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まとめ
GA4のカスタムディメンションを活用することで、標準レポートでは追跡できないビジネス特化のデータを収集でき、より詳細な分析が可能になります。これにより、マーケティング活動に役立つインサイトを得ることができ、ユーザー体験の向上にも繋がります。
一方で、GA4のカスタムディメンションは設定が複雑で、管理画面やイベント・タグの調整が必要なため、特にGA4に不慣れなユーザーにはハードルが高い場合があります。加えて、カスタムディメンションには数やデータの長さに制限があり、上限を超えると追加できません。誤った設定を行うと、意図しないデータが反映され、分析結果や意思決定に悪影響を与えることがあります。効率的に活用するためには事前に計画が必要です。
カスタムディメンションは非常に強力なツールですが、正しく活用するには慎重な設定と理解が欠かせません。これをうまく活用することで、データ分析がさらに精緻になり、ビジネスの成長に貢献できるでしょう。
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