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BtoBマーケティングを効率化するCRM・MAツール活用法|リード管理と営業連携を強化

BtoBマーケティングを効率化するCRM・MAツール活用法|リード管理と営業連携を強化

BtoBマーケティングにおいて、CRM(Customer Relationship Management:顧客関係管理)やMA(マーケティングオートメーション)ツールは、効率的な顧客管理・ターゲティング・パーソナライズ施策の中核を担う存在です。特に近年では、限られたリソースの中でも効果的なリード育成と成約率の向上を実現するために、これらのツールの導入・活用が急速に広がっています。

本記事では、CRMとMAそれぞれの役割や機能を整理し、営業・マーケティング活動を効率化しながら成果につなげるための具体的な活用法をご紹介します。これから導入を検討している方はもちろん、すでにツールを使っているものの活用に課題を感じている方にも役立つ内容です。

CRM(顧客関係管理)ツールの役割と活用法

BtoBマーケティングでは、顧客との接点が複雑かつ長期にわたるため、適切なタイミングでの情報提供や関係構築が成果に大きく影響します。中でも、見込み顧客との接点を記録・管理し、的確なタイミングで適切なアプローチを行うことは極めて重要です。こうした活動を支えるのが「CRM(顧客関係管理)ツール」です。

CRMツールの主な機能とデータ管理

CRM(顧客関係管理)ツールは、顧客の属性や行動データを蓄積・活用しながら、適切なタイミングで最適なアプローチを行うための基盤となります。ここでは、CRMで管理される主なデータと、活用できる代表的な機能について紹介します。

■ CRMツールで管理される主な顧客データ

CRMツールでは、顧客の基本情報から行動履歴まで、営業・マーケティング活動に必要な多様なデータを一元管理します。これにより、顧客のニーズや検討状況を把握し、効果的なアプローチにつなげることが可能になります。

属性情報業種、企業規模、地域、担当者の役職など
行動履歴メールの開封、Webサイトの閲覧、資料ダウンロード、問い合わせ履歴
取引履歴過去の商談内容、購入金額、契約の有無と期間など

セグメント別の戦略設計

蓄積されたデータをもとに、業種や企業規模、フェーズ(検討初期/比較検討/導入直前など)ごとのセグメントを設定すれば、それぞれに最適なコンテンツやタイミングでアプローチできます。これにより、パーソナライズされたマーケティングの実現が可能になります。

パーソナライズ施策の考え方と実践方法については、こちらの記事もご覧ください

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■ CRMツールで活用できる主な機能

CRMツールには営業・マーケティングの効率化を支援する多彩な機能が搭載されています。情報の整理や共有、進捗管理を通じて、業務の属人化を防ぎ、組織全体の生産性向上に貢献します。

タスク主な機能
顧客ごとのニーズを把握する顧客情報の登録・更新と検索機能
→ 業種・役職・企業規模・過去の対応履歴などをもとに、顧客の属性やニーズを詳細に把握
タスクやアクションの履歴管理(対応内容・日付・担当者など)
→ 過去の問い合わせ・対応履歴から関心や課題の傾向を把握
アプローチの優先順位をつける商談ステータスの管理(リード/商談中/受注/失注など)
→ 現在の検討段階に応じて、優先的にフォローすべき顧客を把握
顧客を分類・セグメント化するためのタグ・スコアリング
→ 見込み度や属性に応じた絞り込みで、営業リソースを効率配分
対応漏れ・見逃しを防ぐタスクやアクションの履歴管理
→ 対応の抜け漏れや重複を防ぎ、スムーズな引き継ぎを実現
ダッシュボードによる進捗状況や成果の可視化
→ チーム全体で顧客対応の状況を共有し、次のアクションを明確に

CRMツールの基本的な役割

CRMツールは、顧客情報の一元管理と活用を目的としたプラットフォームです。マーケティング、営業、カスタマーサポートなど部門を超えて顧客情報を共有することで、組織全体で顧客に対する理解と対応の質を高めることができます。

■ CRMツールの主な利用目的

CRMは「顧客との初回接点」から「関係の深耕」まで、BtoBビジネスにおけるあらゆるプロセスを支える重要なツールです。特に、リード管理・ナーチャリング・営業連携を効率化しながら、顧客との関係性を深め、最終的なLTVの最大化に貢献します。

フェーズ主な利用目的
情報収集・整理顧客情報の集約と共有による業務効率化

  • お問い合わせ・資料請求・商談など、初回接点で得た顧客情報をCRMに一元管理
  • 営業・マーケティング・カスタマーサポートなど複数部門で情報を共有可能
  • 誰が対応しても同じ顧客情報をもとに行動できるため、対応のばらつきを防止
  • 業務の重複やミスを削減し、対応の質と効率を向上させることができる
アプローチ・育成顧客ニーズの把握と関係強化の実現

  • CRMに属性情報(業種・役職・企業規模など)」や「行動履歴(問い合わせ内容、メール開封、Web閲覧履歴など)」を蓄積 → それらの情報をもとに、顧客の関心や課題を可視化
  • 最適なタイミングと内容でアプローチが可能になり、情報の押しつけでなく“必要なときに必要な情報”を届けられる
  • タイムリーな情報提供により、リードナーチャリングの精度が向上
  • 継続的な関係構築により、信頼の獲得と商談化率の向上につながる
営業活動・施策管理営業・マーケティング活動の見える化と改善サイクルの構築

  • 各リードや案件のステータス(初回接触、商談中、受注、失注など)を一元管理
  • 営業部門の対応状況や進捗をリアルタイムで把握でき、マネジメント効率が向上
  • ボトルネックの発見や対応の遅れ防止に有効
  • マーケティング部門では、チャネルやコンテンツごとの効果分析が可能
  • 分析結果を活かしてPDCAを回し、施策の継続的な改善につなげられる
関係深化・継続顧客満足度とLTV(顧客生涯価値)の向上

  • 契約後もCRMを活用して、定期的なフォローアップや提案(アップセル・クロスセル)が可能
  • 購買履歴や過去の対応履歴に基づき、パーソナライズされた対応を継続することで、顧客満足度の向上し、長期的な関係構築を実現可能 → LTV(顧客生涯価値)の最大化につながる

LTV(顧客生涯価値)とは、顧客が生涯を通じて企業にもたらす総利益を示す指標のこと。BtoBでは、中長期的な関係構築が求められるため、LTVを考慮した目標設定が重要になります。

CRMツールの導入の注意点(デメリット)

CRMツールの導入には多くのメリットがありますが、コストや社内への定着といった課題にも注意が必要です。

  • 活用が定着するまでに、操作習熟やルール設定が必要
  • データ入力・更新が煩雑になり、属人化すると運用が停滞
  • 高機能なツールほど、現場の負担や教育コストがかかる

導入にあたっては、目的を明確にし、運用ルールを現場とすり合わせて整備することが、活用定着の鍵となります。

CRMは、BtoBマーケティングにおいて「情報資産を活用しながら顧客と向き合う仕組み」を支える存在です。属人的な営業から脱却し、組織全体で顧客理解と信頼関係を深めるために、CRMの導入と継続的な運用は大きな意味を持ちます。

MA(マーケティングオートメーション)による業務効率化

BtoBマーケティングにおいて、限られたリソースで成果を上げるには、マーケティング活動の効率化が欠かせません。そこで注目されるのが、MA(マーケティングオートメーション)ツールです。MAは、リード獲得から育成、営業への引き渡しまでのプロセスを自動化・最適化し、業務の生産性向上と成果の最大化を支援します。

MAツールとは? 主な機能と業務効率化ポイント

MA(マーケティングオートメーション)ツールとは、メール配信やリード育成、顧客管理といったマーケティング業務を自動化し、効率よく成果を高めるための仕組みです。顧客データや行動履歴にもとづいて、最適なタイミングと内容で情報を提供することで、リードとの関係構築を効果的に進めることができます。

以下では、MAツールの主な機能をタスク別に整理し、導入によるメリットや注意点もあわせて解説します。

■ メールキャンペーンやフォローメールの自動配信

機能・目的見込み顧客との継続的な接点の確保とフォローアップの自動化

  • あらかじめ設定した条件やタイミングに応じて、メールを自動で配信可能

〈設定条件例〉
・資料請求後、3日以内に導入事例を送付
・一定期間サイト訪問がないユーザーに再訪促進メールを配信

メリット
  • 担当者の業務負荷を大幅に削減
  • タイムリーかつ一貫性のあるアプローチにより、顧客体験を向上

■ 顧客の行動に応じたスコアリング(リードスコアリング)

機能・目的見込み度の高いリードを抽出し、営業リソースを最適配分

  • Web閲覧、メール開封、資料ダウンロードなどの行動にスコアを付与
  • スコアの高いリードを営業に自動連携し、優先度の高いアプローチを実現
メリット
  • 営業部門は「今アプローチすべきリード」に集中できる
  • 成約率の高い商談が増え、結果的にCAC(顧客獲得コスト)の削減につながる

「リード生成(リードジェネレーション)」と「CAC(顧客獲得コスト)」の関連性についての解説は、こちらの記事をご覧ください。

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■ シナリオ設計による段階的なリード育成(ナーチャリング)

機能・目的検討フェーズに応じた情報提供で、リードを育てる

  • 検討段階別に設計されたシナリオを自動実行

〈検討段階別 シナリオ設計例〉
【初期段階】:業界トレンドや課題解決のホワイトペーパー
【中間段階】:導入事例や活用方法の紹介メール
【決定段階】:ROI資料や営業からのフォロー連絡

メリット
  • 顧客の関心に応じた最適なタイミングでのアプローチが可能
  • 効率的にリードを商談へと導くことができる

■ 顧客セグメンテーションの自動化

機能・目的リードを属性や関心で分類し、パーソナライズ対応を実現

  • 企業規模、業種、興味関心などで自動セグメント分けが可能
  • セグメントごとに最適なコンテンツやメッセージを提供
メリット
  • 一人ひとりに合わせたコミュニケーションにより、顧客満足度が向上
  • 顧客ロイヤルティやLTV(顧客生涯価値)の向上にも寄与

■ 営業活動の効率化と連携強化

機能・目的マーケティングと営業の情報共有とスムーズな連携を実現

  • リードのスコアや行動履歴をリアルタイムで共有
  • MAとCRMの連携により、営業アクションの自動通知・管理が可能
メリット
  • 営業部門が最適なタイミングでアプローチでき、商談化率が向上
  • マーケティング施策が営業成果に直結しやすくなる

■ 一連のマーケティング活動の自動化

機能・目的業務の属人化を防ぎ、継続的な成果創出を可能にする仕組みの構築

  • フォーム入力 → セグメント分類 → メール配信 → スコア判定 → 営業連携 → 効果測定 といった一連の流れを自動化
メリット
  • データが自動的に集約され、分析も効率化されることで、改善までのサイクルが短縮され、効果的な施策をスピーディに実行できる
  • 担当者はより戦略的な業務に集中できる

MA導入における注意点(デメリット)

MAツールには多くのメリットがある一方で、以下の点には注意が必要です。

  • 初期導入や運用の負荷:シナリオ設計やツール設定には時間とリソースが必要
  • 社内の定着:営業部門との連携や運用フローの確立が重要
  • 継続的な改善:データに基づいた定期的な見直しと最適化が欠かせない

MAツールは、マーケティング活動の効率化・精度向上に大きく貢献します。
しかし「導入して終わり」ではなく、継続的に改善・最適化していくことで、初めてその真価を発揮します。営業部門との連携を強化し、CACの最適化とLTVの向上を同時に実現するための基盤として、戦略的に活用していきましょう。

CRMとMAツールの連携

MAツールは、リード獲得から育成、営業への連携までの一連の流れを支える重要な仕組みです。CRMとあわせて活用することで、マーケティング・営業両部門の活動を効率化し、BtoBマーケティング全体の成果を大きく引き上げることができます。

顧客データ管理とパーソナライゼーション

CRMとMAツールを活用すれば、パーソナライズドマーケティングの実現も可能です。

  • Web閲覧履歴、メール開封履歴、資料ダウンロード履歴などの行動データを蓄積
  • 顧客の関心度・購買意欲に応じた最適なタイミングとコンテンツでアプローチ
  • AIや機械学習を活用して、より精緻なセグメンテーションと提案が可能に

例えば、特定の商品をよく閲覧する顧客には、関連商品のメールを自動送信するなど、関心に合わせた提案が可能です。これにより、エンゲージメントや成約率の向上が期待できます。

CRM(顧客関係管理)とMA(マーケティングオートメーション)の連携

CRMとオートメーションをうまく活用することで、BtoBマーケティングの成果は大きく変わります。属人的な営業に頼るのではなく、データと仕組みによってリードの獲得から成約までのプロセスを継続的に改善していくことが、持続的なビジネス成長につながります。

CRM×MAツール連携でできること

CRMとMAを連携することで、「マーケティング→営業→顧客育成」の流れを一元的に管理・運用でき、業務の属人化を防ぎながら成果の最大化が図れます。

目的できること(メリット)
CRM← 連携 →MAツール
リード引き継ぎの効率化スコアの高いリードを営業に自動連携し、商談化の確度とスピードを向上
商談管理/対応者の割当リード情報・スコア連携スコアリング/ナーチャリング
行動データの活用顧客の関心内容を把握し、適切な営業アプローチが可能に
顧客情報・対応履歴を確認行動履歴を連携メール開封・資料DL・Web閲覧の記録
営業アクションの自動化見込み顧客への即時アラートで対応漏れを防止
アクション通知/タスク登録スコア条件による連携条件トリガー設定/通知の自動送信
コミュニケーション履歴の一元化マーケティングと営業の履歴を統合し、一貫した対応が可能
商談メモ/架電・面談記録履歴統合メール配信・反応ログ
成果の可視化と改善マーケ施策と商談結果を突き合わせ、PDCAが高速化
受注・失注データの記録リード獲得・育成履歴を分析キャンペーン別成果測定/A/Bテスト
アップセル・クロスセル既存顧客に対して継続提案を自動で実施
顧客ステータスの分類セグメント情報連携リテンション施策/シナリオ設計

まとめ

BtoBマーケティングにおいて、CRMとMAツールの連携活用は、顧客管理やリード育成の精度を高めるうえで欠かせない手法です。CRMによる顧客データの一元管理により、営業やカスタマーサポート部門との情報連携がスムーズになり、対応の質や効率が向上します。

また、MAツールを活用することで、リードオリフィケーション(案件化可能性の判別)やスコアリング、セグメントごとのナーチャリングが自動化され、商談化率や顧客満足度の向上に直結します。

これらの仕組みを適切に導入・運用することで、属人的になりがちな営業・マーケティング活動を仕組み化し、継続的に成果を生み出すマーケティング体制を構築することが可能になります。CRMとMAを戦略的に活用し、貴社のマーケティングを一歩先へ進めてみてはいかがでしょうか。

続くステップとして、BtoBマーケティングにおけるAI活用についての解説は、こちらの記事をご覧ください。

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