Webサイトを見ていると、Cookie(クッキー)の使用について同意を求めるポップアップやバナーを目にすることが多いでしょう。
Cookieは、ユーザーがWebサイト訪問した際の行動や情報を収集するために利用されています。しかし、Cookieの利用は広告を配信する企業側にとってはメリットとなり得る一方で、データ収集に関して、ユーザーのプライバシーを脅かす倫理的な問題があると懸念されています。
そこで今回はGoogleが提供する機能である「同意モード」の概要やその必要性などを解説します。
■Googleの「同意モード」とは?
Google 同意モード(Google Consent Mode)は、ユーザーの同意ステータス(Cookieの使用に同意しているかどうか)を判断し、その同意状態に応じて広告の配信方法を管理、調整するための機能です。
これにより、ユーザーのプライバシー保護と、広告を配信する企業やWebサイト運営者の法的コンプライアンスを両立させることが可能になります。
では、そもそもCookie(クッキー)の同意が必要なのはどうしてでしょうか。
・クッキーの同意(Cookie Consent)の必要性
近年プライバシー保護の観点から、欧米ではCookie規制の動きが強くなっています。EUではGDPR(General Data Protection Regulation:EU一般データ保護規則)が2018年5月に施行され、Cookieで得られたデータも個人情報としての対象になり、ユーザーの同意なしでは許可されないようになりました。米国ではCCPA(California Consumer Privacy Act:カリフォルニア州 消費者プライバシー法)が2020年1月に施行され、個人情報保護についての法整備が進んでいます。
日本でも個人情報保護法が2022年4月に改正され、Cookieを使用して個人情報を収集する際には、ユーザーの同意が必要とされる場合があるため、Cookie取得に関して同意を求めるポップアップやバナーが表示されるWebサイトが増えています。
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また、ブラウザの設定などで3rd party cookie(サードパーティークッキー)の使用が制限されるようになり、将来的に廃止する方針を示しています。
Safari(Apple) | 2020年3月からトラッキング防止機能「ITP(Intelligent Tracking Prevention)」によって、3rd party cookieをデフォルトで完全にブロック |
Chrome(Google) | 2025年初頭に3rd party cookieのサポートを完全に終了予定 → 2024年7月、3rd party cookie廃止方針の撤回を発表 |
広告を配信する企業側の責任として、法律を理解した上で、同意管理ソリューションを実装する必要性が生じているのです。
「同意モード」は、EUのGDPRやカリフォルニア州のCCPAなどのプライバシー規制に準拠するために設計されています。
■Google「同意モード」の機能
では具体的に、Google 同意モードはどのような機能があるかを解説します。
・同意ステータスの管理
同意モードは、ユーザーがWebサイトに訪れた際に、Cookie使用について同意したかどうかを検出し、そのステータスを管理します。ユーザーが同意を受け入れたか拒否したかを記録し、それに応じて広告の配信方法を調整します。
・広告パーソナライゼーションの調整
同意モードは、ユーザーがパーソナライズされた広告を受け取るかどうかを、同意の有無に基づいて選択します。
ユーザーが同意を許可した場合、Googleはユーザーの好みや興味に基づいて、よりターゲットされた広告を提供します。
ユーザーが同意を拒否した場合でも、Googleはその情報を利用してパーソナライズされた広告を表示しないようにします。代わりに、非パーソナライズ広告(ユーザーに関連性の低い広告)を表示するか、広告自体を最小限に抑えるようにします。
・アナリティクスデータの処理
同意モードは、ユーザーの同意状況に応じて、Googleアナリティクス4(GA4)などのデータ収集と分析の方法を調整します。同意を得られない場合には、一部のデータが匿名化されたり、集計されたりします。
・法的コンプライアンスの支援
同意モードは、GDPRやCCPAなどの規制に対応するために、広告主やWebサイト運営者がユーザーのプライバシーを尊重した上で、ユーザーの同意状態を適切に管理し、最適な広告配信戦略を確立するための手段として導入されています。
※参照元 Google アナリティクス ヘルプ – 同意モードについて
■Google「同意モード」の仕組み
Google 同意モードは、ユーザーの同意ステータスに基づいてCookieを利用するタグの動作を調整できます。
・pingと同意タイプ
ユーザーの同意が得られた場合は、関連付けられているタグが通常どおり機能します。
ユーザーが同意しなかった場合は、同意ステータスを認識するタグにCookieは保存されず、Cookieのないping(シグナル)が Googleに送信されます。
ping | 説明 |
同意ステータスの ping | 設定したデフォルトの同意ステータスと、ユーザーが同意タイプ(例: 「ad_storage」、「analytics_storage」)ごとに同意を許可または拒否した際にステータスを伝えます。 |
コンバージョンの ping | コンバージョンが発生したことを示します。 |
Google アナリティクスの ping | Google アナリティクスが実装されているWebサイトの各ページから、読み込み時、およびイベントのログ記録時に送信されます。 |
ユーザーはタグで使用される保存のタイプごとに同意または拒否を選択できます。同意タイプには次のような種類があります。
同意タイプ | 説明 |
ad_storage | 広告に関連する保存(Cookie など)を有効にします |
analytics_storage | 訪問時の滞在時間など、分析に関連する情報の保存(Cookie など)を有効にします |
functionality_storage | 言語設定など、ウェブサイトまたはアプリの機能をサポートする保存を有効にします |
personalization_storage | おすすめの動画など、パーソナライズに関連する保存を有効にします |
security_storage | 認証機能、不正行為防止、その他のユーザー保護など、セキュリティに関連する保存を有効にします |
※参照元 Google アナリティクス ヘルプ – 同意タイプ
・行動モデリング
ユーザーがCookieの同意を拒否した場合には、機械学習を使用した行動モデリングによって、Cookieを受け入れた類似ユーザーの行動(1日のアクティブユーザー数やキーイベント率などの指標)をもとにデータを推定し、拒否したユーザーの行動をモデル化します。これにより、アナリティクスのレポートから有益な分析情報を得ることが可能となります。
ただし、同意したユーザーの行動データに十分な量がない場合は、モデル化したデータの精度が確保されません。
※参照元 Google アナリティクス ヘルプ – [GA4] 同意モードの行動モデリング
■Google「同意モード」のデメリット
Google 同意モードの導入によって、どのような影響が懸念されるでしょうか。
・広告収益の低下
Cookie使用についてユーザーの同意を得られない場合には、非パーソナライズされた広告が表示されるようになり、広告への関心やクリック率が低下する可能性があります。そのためユーザー数、セッション数、コンバージョン数などの指標が大幅に減少し、解析データの正確性が失われることも懸念されます。
・ユーザーエクスペリエンスの低下
Cookieの使用について同意を求めるポップアップやバナーを表示することで、ユーザーが煩わしいと感じ、Webサイトやアプリのユーザーエクスペリエンス(使用体験)が悪化する可能性があります。
■まとめ
今回は「Google 同意モード」の仕組みや必要性などを解説しました。
3rd party cookieは事実上廃止に向かっており、プライバシー保護の観点から、Googleの広告を利用している場合は、同意モードの実装は欠かせません。しかし、計測データの量や質が低下することが懸念され、リスクも考慮する必要があります。
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