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Cookieのメリット・デメリット

【基本解説】Cookieのメリット・デメリット 3rd party cookie規制の動き!

Cookieのメリット・デメリット

Webサイトを見ているとよく目にする「Cookie(クッキー)」。前回はCookieの役割や仕組み、1st party Cookieと3rd party Cookieの違いなどをご紹介しました。

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3rd Party Cookieはユーザーが把握できない範囲で、Web広告やマーケティングなどに幅広く活用されており、近年はプライバシー保護の観点から、規制の動きが強まっています。
今回は3rd party Cookieの問題点や使用規制の動きなどに触れたいと思います。

■3rd party Cookieの用途

Cookieは、アクセスしたWebサイトのドメインが直接に発行する1st Party Cookie(ファーストパーティクッキー)とアクセスしたWebサイトと異なる(第三者の)ドメインが発行する3rd Party Cookie(サードパーティクッキー)の大きく2種類に分けられることは、前回でご紹介した通りです。

3rd party Cookieは、ユーザーの行動を複数のWebサイトを横断して追跡しています。これにより、広告主などの企業はユーザーが「どのWebページや広告からアクセスしたか」、「どの商品を購入したか」などのデータを収集して、ユーザーの興味や関心を把握することで、広告のターゲティングやニーズに適したコンテンツを提供することが可能になります。

3rd party Cookieは具体的に以下のような用途で利用されています。

・リターゲティング広告(追跡型広告)

リターゲティング広告とは、特定のWebサイトに一度訪問したことがある、興味や関心が高いと考えられるユーザーに対して配信する広告です。
例えば、ECサイトでユーザーが検索した商品を購入しなかった場合、リターゲティング広告を通じて再度アプローチすることで、ユーザーの関心を惹きつけ、あらためて購入を促す効果があります。

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・アトリビューション分析

アトリビューション分析とは、コンバージョンに至るまでの経路や要因を分析し、コンバージョンへの貢献度を測る手法です。
例えば、3rd party cookieを利用すると、ユーザーが複数の異なるWebサイトを訪問した場合でも、そのユーザーの行動を追跡(クロスサイト追跡)できるため、コンバージョン直前のクリックだけではなく、間接的に接点を持った広告やWebサイトの訪問がコンバージョンにどの程度の影響を与えているかを評価することができます。

・アトリビューション分析例アトリビューションによる評価

※Google広告では「ファースト クリック」、「線形」、「減衰」、「接点ベース」の各アトリビューション モデルのサポートは終了し、「データドリブン」モデルに移行しています。

参照元:https://support.google.com/google-ads/answer/6259715

■3rd party Cookieの問題点

3rd party cookieの利用は広告を配信する企業側にとってはメリットとなり得る一方で、データ収集に関して、ユーザーのプライバシーを脅かす倫理的な問題があると懸念されています。

・プライバシーの侵害

リターゲティング広告は3rd party cookieがユーザーの行動を追跡した情報に基づいて表示されます。
ユーザーは興味や関心などの情報がどのように収集され、利用されているかについては知ることができず、また広告のターゲティングに関与することもできません。ユーザーが意図しない広告が表示されると不快に感じたり、不信感を抱いたりする場合があります。
これはプライバシーの侵害と見なされる可能性があります。

※広告主側の対策として、Google広告、Yahoo!では、広告同一ユーザーに対し広告表示回数を制限できる「フリークエンシーキャップ」機能が利用できます。

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■3rd party Cookie使用規制の動き

・法律による規制

プライバシー保護の観点から、欧米ではCookie規制の動きが強まっています。
EUではGDPR(General Data Protection Regulation:EU一般データ保護規則)が2018年5月に施行され、Cookieで得られたデータも個人情報としての対象になり、ユーザーの同意なしでは許可されないようになりました。規定に違反した場合は制裁金が課されると定められています。
米国ではCCPA(California Consumer Privacy Act:カリフォルニア州 消費者プライバシー法)が2020年1月に施行され、個人情報保護についての法整備が進んでいます。
日本でも個人情報保護法が2022年4月に改正され、Cookieを使用して個人情報を収集する際には、ユーザーの同意が必要とされる場合があり、Cookie取得に関して同意を求めるポップアップが表示されるWebサイトが増えています。しかし、ポップアップが実装されていないWebサイトでは、ブラウザの設定でCookieが有効になっていると、ユーザーがわからないまま情報が取得される危険性があります。

・ブラウザによる規制

AppleやGoogleなどプラットフォーマーである企業も3rd party Cookie利用の規制に向けて対策を進めています。
Appleが提供するブラウザのSafariでは2017年にトラッキング防止機能のITP(Intelligent Tracking Prevention)が実装され、2020年の3月には、3rd party Cookieを完全にブロックするようになりました。
Googleが提供するブラウザのChromeも、2024年中には3rd party Cookieの廃止を予定しています。
Microsoftが提供するブラウザEdgeでは、追跡防止機能の設定により、トラッキングをブロックするように選択できます。

参照元:https://japan.googleblog.com/2023/12/chrome-cookie.html
https://learn.microsoft.com/ja-jp/microsoft-edge/web-platform/tracking-prevention

■脱Cookieに向けて、代わる手段とは?

3rd party Cookieの規制が進み、ユーザーの行動を追跡することが制限されるため、「リターゲティング広告」などのインターネットを利用したビジネスモデルに大きな影響を与えることが予想されます。広告主などの企業はこのような動向に対応した新たな手法でマーケティングを行う必要が生じています。
では、プライバシー保護に配慮し、3rd party Cookieの利用を回避するにはどのような方法があるでしょうか。

・1st Party Cookieの活用

まずCookieを利用する場合は、3rd party Cookie依存することなく、自社のWebサイトが発行する1st Party Cookieを正しく活用することです。
3rd party Cookieは事実上廃止へと向かっており、1st Party Cookieもこれから規制が厳しくなると予想されますが、ユーザーからCookie利用の同意を得ることで、データの収集が可能になります。
その上で、自社WebサイトのSEO(検索エンジン最適化)やSNSなど、オウンドメディアのコンテンツの質を高めることが重要です。

・コンテキスト広告

コンテキスト広告は、ユーザーが閲覧したWebサイトの文章や画像などをAIが分析し、広告主が指定したキーワードや文脈(コンテキスト)に基づいて、ユーザーの関心やニーズにマッチした広告を表示します。
ターゲティングは、AIが解析して行われるので、3rd Party Cookieによるユーザーの情報収集は不要です。

コンテキスト広告

・Googleの取り組み

「プライバシー サンドボックス」

プライバシー サンドボックス(Privacy Sandbox)は、3rd party Cookieに代わる、ユーザーのプライバシー保護を強化するための取り組みで、GoogleのChromeで採用しています。プライバシー サンドボックスには複数の取り組みがあり、GoogleのTopics APIもそのひとつです。

「Topics API」

Topics APIは、プライバシーサンドボックスの一部で、ブラウザ(Chrome)が閲覧履歴に基づいて、ユーザーの興味や関心の高い項目「トピック」を推測し、ユーザーのデバイスに記録されます。そのトピックはユーザーを特定できないようにされた上で、広告パートナーなどのWebサイトに共有されます。

Topics API 例

参照元:https://japan.googleblog.com/2022/01/topics-api.html
https://support.google.com/google-ads/answer/11899856?hl=ja

■まとめ

今回は3rd party cookieの用途や使用規制の動きなどをご紹介しました。
3rd party Cookieの規制は年ごとに強まっており、今後、広告主などの企業は新しい技術を理解した上で、3rd party cookieに依存しないマーケティングの施策が必要となります。

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