Web広告において、コンバージョンは広告主にとって最も重要な指標のひとつです。
そこで今回はGoogle広告のコンバージョン計測において重要な役割を果たす「データドリブン アトリビューション」の基本知識やその必要性、注意点などを解説します。
※Google アナリティクス 4(GA4)において「コンバージョン」は「キーイベント」に名称変更されました。
■「データドリブン」とは?
インターネット上でのユーザーの嗜好や行動はますます多様化・複雑化しています。情報源も検索サイト、メルマガやSNSなど多岐にわたります。こうした非直線的な流入経路をより正確に分析するため、データ活用の重要性が増しています。
データドリブンとは、マーケティングやビジネスの戦略策定においてデータに基づいて意思決定を行う手法のことです。
Google広告においては、以下のようなアプローチが重要となります。
- データの収集と分析
Google広告では、広告の成果を測定するためにインプレッション、CTR(クリック率)、CPC(クリック単価)、コンバージョン率、コンバージョンコストなど多くのデータが収集されます。ユーザーの行動データを定期的に分析し、各広告の効果を客観的に評価します。 - 実験とテスト
仮説を立てて実験を行い、その結果をデータで評価することが重要です。例えば、異なるパターンの広告コピー、ランディングページ、ターゲティングオプションなどを比較するA/Bテストにより、データに基づいた意思決定が可能となります。 - 予測分析と広告最適化
蓄積された過去のデータから将来の課題や成果を予測し、それに基づいて広告予算やキャンペーンの最適化を図ります。
Google広告プラットフォームでは、自動入札戦略や広告配信の最適化を目的とした機械学習モデルが活用されており、よりデータに基づいた最適な広告管理が可能となります。
機械学習という言葉は近年よく耳にするようになりました。機械学習は様々なもので使用されています。Google広告でも機械学習を活用した機能が使えます。Google広告ではアカウントの自動化が推奨されています。そこで今回は、自動入札[…]
■「データドリブン アトリビューション(DDA)」とは?
アトリビューションとは、コンバージョンに至るまでの経路や接触ポイントの貢献度を評価する手法です。
・「データドリブン アトリビューション(DDA)」の仕組み
複数の接触ポイントの評価
コンバージョン計測では多くの場合、コンバージョンに至った直前にクリック(ラストクリック)された広告だけが評価されます。しかし実際には、ラストクリックだけが成果につながっているとは限りません。
Google広告のデータドリブン アトリビューション(DDA)は、広告キャンペーンの成果を正確に評価し、広告費の最適化を支援するためのモデルです。「ラストクリック」だけではではなく、間接的に接点を持った広告がコンバージョンにどの程度の影響を与えているかの貢献度を評価します。
サッカーに例えるなら、ゴールを決めた選手だけではなく、ディフェンスやパスを回した選手も客観的に評価するということになります。
参照元:Google広告ヘルプ – データドリブン アトリビューションについて
〈アトリビューション分析例〉
※Google広告では「ファースト クリック」、「線形」、「減衰」、「接点ベース」の各アトリビューション モデルのサポートは終了し、「データドリブン」モデルに移行しています。
参照元: Google広告ヘルプ – アトリビューション モデルについて
・「データドリブン アトリビューション(DDA)」のメリット
機械学習による広告の最適化
Google広告のデータドリブン アトリビューション(DDA)は、機械学習アルゴリズムや蓄積されたデータを用いて、複数の広告接触(キーワードやキャンペーン)がどれだけコンバージョンに貢献したかを推定することで、ユーザーのコンバージョンに与える相対的な価値を評価することができます。
また、その情報をもとにどのチャネル(流入経路)を重視するか、どの広告に予算を効果的に割り当てるかなど、広告の最適化や予算配分を行うことが可能になります。
アトリビューション分析をしていないと正確な評価ができず、ラストクリックに至るまでにアシストして成果を生み出している広告を過小評価して、予算を減らしたり、停止してしまうことで、コンバージョン獲得の機会を失うリスクがあります。
コンバージョン経路の可視化
Google アナリティクス 4(GA4)のコンバージョン経路レポートを使用すると、ユーザーがコンバージョンに至るまでの経路を視覚化し、各接触ポイント(チャネル、参照元、メディア、キャンペーン)の影響を理解することができます。
早期タッチポイント | 経路上の接触ポイントのうち、最初の25%のタッチポイント。 4回の訪問でコンバージョンが発生した場合は1回目の訪問が該当。 |
中間タッチポイント | 経路上の接触ポイントのうち、中間の50%のタッチポイント。 4回の訪問でコンバージョンが発生した場合は2回目と3回目の訪問が該当。 |
後期タッチポイント | 経路上の接触ポイントのうち、最後の25%のタッチポイント。 4回の訪問でコンバージョンが発生した場合は4回目の訪問が該当。 |
データドリブンなアプローチとアトリビューションの組み合わせにより、Google広告キャンペーンの効果的な管理と最適化が可能となります。
参照元:Googleアナリティクス ヘルプ – [GA4] コンバージョン経路レポート
・「データドリブン アトリビューション(DDA)」に不向きなケース
データ量が不足している場合
データドリブン アトリビューションは複数の広告チャネルや接触ポイントを考慮に入れて効果を測定するため、一定以上のデータ量が必要となります。
訪問数が少ない小規模なWebサイトや、予算が限られて広告キャンペーンの多様性や充実度が不十分な場合、精度が低下する可能性があります。
具体的には、 30日以内に300回以上のコンバージョンと3,000回以上の広告インタラクションが必要な場合があります。水準に満たない場合は「データドリブン アトリビューション」モデルの選択ができません。
また、データドリブン アトリビューションは、長期的なデータの蓄積によって広告キャンペーンの成果を測定するため、短期的なキャンペーンや一時的なプロモーションには適していません。
特定の広告チャネルのみを使用している場合
特定の広告チャネルに偏った予算配分をしている場合、他のチャネルとの相互作用を正確に評価することができません。
また、コンバージョンまでの流入経路が単純なケースには適していません。
参照元:Google広告ヘルプ – データドリブン アトリビューションについて
■「データドリブン アトリビューション(DDA)」の設定方法
- Google アナリティクス 4(GA4)にログインします。
- [管理]>[アトリビューション設定]をクリックします。
- [レポート用のアトリビューションモデル]から[データドリブン]を選択します。
- 「保存」をクリックします。
参照元:Googleアナリティクス ヘルプ – [GA4] アトリビューション設定を選択する
■まとめ
今回は「データドリブン アトリビューション」の概要やその必要性、注意点などを解説しました。
「データドリブン アトリビューション」は、マーケティング活動の効果測定において非常に有用ですが、適用するにはデータの収集や分析に時間とリソースがかかります。また、専門的なツールやシステムの導入やカスタマイズも必要となる場合があり、それに伴うスキルやコストも考慮する必要があります。
データドリブン アトリビューションを適用する前に、そのデメリットや制約を考慮し、自社での対応がむずかしい場合には、外部に委託することも検討しましょう。
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