GA4(Google アナリティクス 4)のベンチマーク機能は、自社のデータを業界の他社と比較するためのツールです。自社のWebサイトのパフォーマンスが、業界全体の平均と比較してどの位置にあるのかを把握することができます。
今回はベンチマーク機能の主なポイントとBtoB企業にとっての有用性を解説します。
GA4(Google Analytics 4):Googleが提供する無料のWeb解析ツール。Webサイトやアプリの訪問者数、ユーザーの行動、コンバージョン(目標達成)などのデータを収集・分析し、サイト運営者がパフォーマンスを把握し、改善するための情報を提供する。 |
ベンチマークとは
GA4のベンチマーク機能は、自社と同業他社を比較するためのツールで、自社のWebサイトの強みや弱みを把握し、改善策を導き出すのに役立ちます。豊富な利用者データに基づき、類似ビジネスの指標を提供します。
ベンチマーク機能の主なポイント
- 業界ごとの比較
GA4では、複数の業界カテゴリーに基づいて、同じ分野の他の企業と自社のパフォーマンスを比較できます。例えば自社が「製造業」に属する場合、その業界内でのトラフィックやコンバージョンの平均値を知ることができます。 - 指標の比較
ベンチマーク機能で比較できる主な指標は以下の通りです。
・セッション数 : ユーザーがWebサイトやアプリに訪問した回数
・平均セッション時間 : ユーザーが1回のセッションで訪問した平均時間
・エンゲージメント率 : ユーザーがどれくらいの頻度でコンテンツと関わっているかの割合
・キーイベント(コンバージョン)率 : 購入やフォーム送信など、目標達成の割合
・新規ユーザー率 : 特定の期間内にWebサイトやアプリに初めて訪問したユーザーの割合
・直帰率 : Webサイトに訪問したユーザーが最初のページだけを閲覧して離脱した割合 - 期間の比較
過去のデータと現在のパフォーマンスを比較することで、季節的な変動やキャンペーンの効果を把握できます。
ベンチマークの使い方
ここでは、ベンチマーク機能の開始手順と、実際にベンチマークを活用した例を紹介します。
ベンチマーク機能を始める手順
GA4でベンチマーク機能を利用するには、事前に以下の設定を行います。
[管理] > [アカウント設定] > [アカウントの詳細] で [モデリングのためのデータ提供とビジネス分析情報] の設定を有効にする。参照元:アナリティクス ヘルプ – [GA4] ベンチマーク
[ホーム] > [アクティブユーザー] や [イベント数] など、概要のプルダウンメニューから [ベンチマーク] を選択します。表示される指標一覧から、比較したい指標を選択します。[ベンチマークアイコン] を選択し、[ベンチマークデータ] がオンになっていることを確認して、対象とする同業グループを選択します。
ベンチマークデータの表示例
一例として「セッションあたりのイベント数」の指標を見てみましょう。
※イベントとは、Webサイトやアプリに訪問したユーザーの行動データを測定したもの。
GA4のベンチマーク機能では、「パーセンタイル」を使って自社のパフォーマンスを業界内で比較します。
パーセンタイルとは、データを順位別に並べたとき、特定の値が全体の中でどの位置にあるかを示す指標です。例えば、75パーセンタイルは、上位25%の企業がその値以上であることを意味します。
75パーセンタイル | 同業他社の中で上位25%がこの値以上であることを示します。 |
中央値 | 同業他社の中で最も中心的な位置にある指標値で、その業界の平均的な値を示します。 |
25パーセンタイル | 同業他社の中で下位25%がこの値以下であることを示します。 |
この業界の例では、上位25%の「セッションあたりのイベント数」が5.95以上であることを示しています。自社サイトの値は7.83であり、非常に高いパフォーマンスを発揮していると言えます。
次に「アクティブユーザーあたりのビュー」の指標を見てみましょう。
※アクティブユーザーとは、一定期間内にWebサイトやアプリに訪れ、何らかのアクションを取ったユーザーのこと。
この業界の例では、下位25%の「アクティブユーザーあたりのビュー」が1.29以下であることが示されています。自社サイトの値は1.29であり、ユーザーの関心が低い可能性があります。質の高いコンテンツの提供を検討する必要があります。
BtoB企業にとっての有用性
BtoB企業にとって、GA4のベンチマーク機能は非常に有益です。具体的にどのように役立つのかを解説します。
自社のパフォーマンスを比較
BtoB企業は、特定の業界やターゲット層に向けてマーケティングを行うため、同業他社との比較が非常に重要です。GA4のベンチマーク機能を使うと、自社のパフォーマンスを業界平均と比較でき、Webサイトの訪問数やコンバージョン率が業界の中でどの位置にあるのかを確認できます。
例えば、新製品のランディングページを公開して、コンバージョン率が低ければ、ページ内容の改善が必要であると考えられます。
ユーザーの関与度を比較
BtoBの顧客は意思決定に時間がかかるため、Webサイト内でのユーザーの関与度(資料請求やフォーム入力、セミナー登録など)を測ることが重要です。GA4のベンチマーク機能を使って、同じターゲット層を持つ企業がどれくらいエンゲージメントを引き出しているのかを比較することで、自社のパフォーマンスがどの位置にあるかを把握できます。
例えば、エンゲージメント率が業界内の平均より低い場合、ユーザーエクスペリエンスの改善や、コンテンツの質の向上が必要であることが分かります。
リード獲得やブランド認知度向上に向けた施策の確認
BtoBのマーケティングでは、リード獲得やブランド認知度の向上といった長期的な目標が重視されることが多くあります。GA4のベンチマーク機能を活用することで、効果的にリードを獲得しているか、またWebサイトのエンゲージメント状況を業界平均と比較し、どの施策が効果的かをより明確に把握できます。
例えば、新規ユーザー率が他社と比較して高い場合、認知獲得施策は効果的に機能していると言えます。一方、新規ユーザー率が著しく低い場合、その原因を特定し、広告展開やターゲティングの改善策をとる必要があります。
まとめ
GA4のベンチマーク機能は、業界ごとのパフォーマンス比較を通じて、企業が自社のポジションを把握し、マーケティング戦略の改善に役立てるための強力なツールです。特にBtoB企業にとっては、同業他社との比較が非常に有益であり、リード獲得やエンゲージメントの強化といった長期的な目標に向けて、改善点を明確にするための有力な指針となります。
ただし、GA4のベンチマーク機能は、主にWebサイト全体のパフォーマンスを業界平均と比較するためのもので、ページ単位での測定には対応していません。GA4の他のレポート機能を併用して、具体的な改善点を導き出しましょう。
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