私たちが日常的に利用している検索エンジン。その検索結果で上位に表示されるかどうかは、Webページがどれだけ見られるかに大きく影響します。実際に、検索結果の1ページ目に表示されないWebサイトは、ユーザーにほとんど見られないというのが現実です。
Webサイトを運営する企業にとって、ただページを作るだけでは不十分で、見つけてもらうための施策が欠かせません。そこで重要になるのが、SEO(検索エンジン最適化)とリスティング広告(検索連動型広告)です。
BtoBマーケティングにおいて、SEOとリスティング広告はいずれもWeb集客に効果的な手段ですが、それぞれに異なる役割や特徴があります。
本記事では、両施策の仕組みや違いをわかりやすく解説し、BtoB企業が成果を上げるために、どのように使い分けるべきかをご紹介します。
SEOの特徴
SEO(Search Engine Optimization:検索エンジン最適化)とは、検索エンジンで自社のWebサイトが上位に表示されるようにするための手法や戦略のことです。
SEO(検索エンジン最適化)とは
SEOとは、Googleなどの検索エンジンにおいて、自社のWebサイトやコンテンツを自然検索で上位表示させるための施策です。
検索エンジンは、サイトの構造やコンテンツの質、ユーザーの検索意図への適合性などを評価し、表示順位を決定します。
SEOを理解するための基礎知識をわかりやすく解説した資料をご用意しておりますので、ぜひご活用ください。 関連記事 Webマーケティング初心者のためのBtoB向けSEOガイド~自社Webサイトを改善するための第一歩~Webマーケティング初心者を対象としたBtoB向けSEOガイドです。[metaslider id="13905"[…] |
SEOのメリット・デメリット
■ SEOのメリット
- 長期的な集客が可能
一度検索結果の上位に表示されると、自然検索からの流入が安定して増え、継続的にアクセスを獲得しやすくなります。 - 権威性・信頼性の向上
GoogleはE-E-A-T(経験・専門性・権威性・信頼性)という評価基準を重視しています。上位表示されることで、検索エンジンからの評価だけでなく、ユーザーからの信頼も得やすくなります。
参照元:Google検索セントラル – 有用で信頼性の高い、ユーザー第一のコンテンツの作成 - コンテンツが資産になる
ブログや記事などのコンテンツは、時間とともに蓄積され、Webサイト全体の価値向上に貢献します。特にコンテンツSEOにおいては、検索意図に合った質の高い情報を継続的に発信することが、検索上位の維持や流入拡大につながります。更新を重ねることで、より検索に強いサイトになります。 - 広告費がかからない
リスティング広告のようなクリック課金がなく、運用コストを抑えることができます。
コンテンツSEOの基本知識については、こちらのページで紹介しています。 関連記事 「検索結果に出てこない」「問い合わせにつながらない」——そんな悩みをお持ちの方へ。検索結果で上位表示を狙うなら、単に記事を量産するだけでは不十分です。求められるのは、「ユーザーのニーズに応える質の高いコンテンツを、戦略的に設計・発信する[…] コンテンツSEOを成功させるためのノウハウをわかりやすく解説した資料をご用意しておりますので、ぜひご活用ください。 関連記事 今からはじめる!コンテンツSEO~作成と成功のポイント~※ホワイトペーパーはお申込み完了後、DLページのリンクを送信します。コンテンツSEOは、価値あるコンテンツを作成し、検索エンジンに最適化することで集[…] |
■ SEOのデメリット
- 即効性が低い
対策をしてもすぐに効果が出るわけではなく、成果が出るまでに数ヶ月〜半年以上かかることが一般的です。 - 継続的な改善が必要
Googleのアルゴリズムは定期的に変化します。また、競合の動きにも対応する必要があり、ブログ記事やサービスページなど、コンテンツの更新や見直しが欠かせません。
■ SEOの注意点:AI Overviewによる自然検索流入の影響
近年、Google検索における「AI Overview(生成AIによる要約表示)」の導入が進んでおり、ユーザーが検索結果ページで完結してしまうケースが増えています。
この影響により、従来のSEO対策だけではクリック率が下がり、自然検索からの流入が減少するリスクも出てきました。
そのため、今後のSEOでは以下のような工夫がより重要になります。
- 見出しや構造を整理し、AIに適切に情報を拾わせる
- 独自性や一次情報を強化し、差別化を図る
- SEOと並行して、広告やSNS、メールマーケティングなど他チャネルも活用する
こうした変化を踏まえ、「検索エンジンに評価されるコンテンツ作り」に加え、「検索エンジンに依存しすぎない戦略」も意識することが求められます。
リスティング広告の特徴
リスティング広告(検索連動型広告)とは、GoogleやYahoo!などの検索エンジンで、ユーザーが検索したキーワードに応じて、検索結果の上部や下部に表示される広告のことです。
リスティング広告とは
リスティング広告とは、ユーザーが検索エンジンで調べたキーワードに応じて、関連性の高い広告が検索結果ページの上部や下部に表示される仕組みです。
広告主はあらかじめ出稿するキーワードや広告文を設定しておき、ユーザーがそのキーワードで検索した際に広告が表示されます。クリックされることで初めて費用が発生する「クリック課金型(PPC)」であることも大きな特徴です。
このような仕組みにより、関心が高い見込み顧客に対して即時にアプローチが可能となり、特に短期的な集客やリード獲得を目的とした施策に有効です。
BtoB向けWebマーケティング初心者のために、リスティング広告の基本から出稿・運用のポイントまでをわかりやすく解説した入門資料をご用意しておりますので、ぜひご活用ください。 関連記事 Webマーケティング初心者のための入門ガイドリスティング広告とは?~出稿手順から運用法まで~[metaslider id="13732"]※ホワイトペーパーはお申込み完了後、DLページのリンクを送信します。[…] |
リスティング広告のメリット・デメリット
■ リスティング広告のメリット
- 即効性がある
広告を出稿すればすぐに検索結果の上部に表示されるため、新規サイトの立ち上げ時や短期間での集客・露出を図りたい場合に効果的です。 - 検索結果より上に表示される
オークションで落札できれば、自然検索よりも上位に広告が表示され、ユーザーの目に留まりやすくなります。 - ターゲット設定が柔軟
地域・時間帯・業種・企業規模など、BtoB特有の細かいターゲティングが可能で、効率的なリード獲得につながります。 - テスト・改善がしやすい
広告文やランディングページ(LP)をABテストしながら成果を分析し、スピーディに改善できます。
■ リスティング広告のデメリット
- 広告費用が継続的に発生する
リスティング広告はクリックされるたびに課金される仕組みのため、常に広告費が発生します。特に競合の多い業種やBtoB領域では1クリックあたりの単価が高くなる傾向があり、予算管理や効果測定が重要になります。 - 成果が広告配信に依存する
配信を停止すると集客も止まり、SEOのように「資産」としては残らないため、継続的な出稿が前提になります。 - 入札管理が必要
広告費用はオークション形式で決まるため、入札額の調整や予算管理が必要です。ただし、上限を設定することで費用のコントロールは可能です。
SEOとリスティング広告の使い分け
BtoBマーケティングにおいて、SEOとリスティング広告はいずれもWeb集客に有効な施策ですが、それぞれ活用すべきタイミングや対象となるユーザー層が異なります。
SEOとリスティング広告を最適に使い分けるための2つの視点
SEOとリスティング広告は、それぞれに強みや特性があります。ここでは、「期間」と「ターゲット層」の2つの観点から両者の使い分けを整理します。
■ 施策の効果が現れる「期間」
SEOとリスティング広告は、それぞれ成果が出るまでのスピードが異なります。目指す成果の時期や施策の緊急度に応じて、適切な手段を選ぶことが成功の鍵です。
施策 | 効果の発現時期 | 活用に適したケース |
リスティング広告 | 短期的 | ・新規サイトの立ち上げ初期 ・期間限定キャンペーンやセミナーの告知など ・すぐに集客を開始したい場合 |
SEO | 中長期的 | ・常設のサービスページやブログ記事の拡充 ・継続的に検索流入を狙いたい場合 |
■ アプローチする「ターゲット層」
検索ユーザーの行動フェーズや関心度に応じて、どちらの施策がより効果的かは変わってきます。見込み顧客の状態を見極めて、最適なアプローチを検討しましょう。
施策 | 適したターゲット層 | 特徴 |
リスティング広告 | 顕在層(今すぐ解決したい層) | 購買意欲が高く、すぐに問い合わせや資料請求につながる可能性が高い |
SEO | 潜在層(情報収集段階の層) | 課題はあるが解決策を探している段階の見込み顧客にリーチできる |
実際の活用ステップ
BtoB企業、とくに作り立てのWebサイトの場合は、まだSEO評価が低く、検索上位に表示されることはほとんどありません。
そのため、次のようなステップでの活用が効果的です。
- 初期段階:リスティング広告で認知を獲得
- 指定キーワードで検索上位に広告を表示させ、短期的な集客を図る
- 質の高いコンテンツがあれば、クリック後のエンゲージメントやファン化も期待できる
- 中長期:SEOコンテンツを継続的に強化
- 潜在層向けにブログやサービス紹介などのコンテンツを蓄積
- ユーザーの検索意図に応える情報を発信し続け、自然検索流入を増やしていく
■ BtoBマーケティングにおける使い分け・併用のポイント
シーン | おすすめ施策 | 理由 |
新サービスの即時告知 | リスティング広告 | すぐに認知・流入を得たい |
継続的なリード獲得 | SEO | 長期的にコストを抑えて安定集客 |
高額商材・検討期間が長い商品 | SEO+広告の併用 | 信頼性を高めつつ、適切なタイミングでリーチ |
ニッチ市場や特定の業種ターゲット | 広告の細かいターゲティング | 明確なセグメントに効率よくアプローチ |
SEOとリスティング広告を連携させて、相乗効果を最大化する
SEOとリスティング広告は、それぞれに異なる強みを持つWeb集客手法ですが、単独で活用するよりも、データや成果を活かして相互に補完し合うことで、より高いパフォーマンスが期待できます。
「SEOで得られた知見を広告に活かす」「広告で得た効果的なキーワードをSEO施策に転用する」など、両者を連携させることで、費用対効果の高いマーケティング戦略が実現できます。
SEOで拾いきれないキーワードをリスティング広告でカバーする
SEOは中長期的に自然検索からの流入を得るのに適した施策ですが、以下のようなキーワードは対策が難しい場合もあります。
- 競合が強すぎてSEOでは上位表示が難しいキーワード
- 一時的なキャンペーンや新製品関連のキーワード(検索ボリュームが少ない、安定していない)
- 指名検索や商標名に近いキーワードなど、ニッチな訴求に関わるもの
こうしたキーワードは、リスティング広告で即座に露出することで、機会損失を防ぐことができます。
特に、BtoB商材など購買までの検討期間が長い領域では、各フェーズで必要な情報を適切なタイミングで届けることが重要です。SEOと広告を柔軟に組み合わせることで、幅広い検索意図に対応した網羅的なアプローチが可能になります。
広告で成果の高かったキーワードをSEOコンテンツに活用する
リスティング広告では、クリック率(CTR)やコンバージョン率(CVR)などの数値データをもとに、効果の高いキーワードを把握することができます。この特性を活かし、効果の高いキーワードを抽出してSEO施策に転用することで、より効率的に自然検索からの流入を狙うことができます。
▼ このアプローチのメリット
- 即効性と長期性の融合:リスティング広告で得た知見をもとに、SEOでも継続的に成果を狙える
- 効率的なキーワード選定:実データに基づいているため、仮説ベースのSEOより成功確度が高い
- 費用対効果の最適化:広告に頼りすぎず、資産性のあるコンテンツで集客ができる
このように、リスティング広告を「単発の集客施策」に留めず、SEOへの活用を前提とした戦略設計を行うことで、BtoBマーケティング全体のパフォーマンスを高めることが可能です。
まとめ:SEOとリスティング広告は併用が基本
SEOとリスティング広告は「どちらか一方」ではなく、目的やタイミングに応じて使い分け、併用することが効果的です。
- 短期的な集客やスピード重視の施策では、即効性のあるリスティング広告を活用
- 長期的な集客基盤やWeb資産の構築には、継続的なSEO対策が不可欠
- リスティング広告のデータをSEOに活用:広告レポートで得たクリック率やコンバージョン率の高いキーワードを分析し、効果的なコンテンツSEO施策へ反映
このように、それぞれの特性を理解し、BtoBビジネスの成長フェーズや施策内容に応じた柔軟な運用を行うことで、Webマーケティング全体の成果を最大化できます。
今回は、SEOとリスティング広告の違いについてご紹介しました。両者の特徴や役割を正しく理解しておくことで、適切なタイミングで最適な施策を選択できるようになり、より効率的で成果につながるWebサイト運営が可能になります。
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