自社のリソースや専門知識の不足から、リスティング広告などのWeb広告運用を外部に委託したいとお考えのマーケターのみなさまへ。本コラムでは、Web広告運用代行のメリット、適切な会社の選び方、さらに貴社の意図がしっかり伝わる依頼方法についてご紹介します。
BtoB業界でのリスティング広告使用のメリットや自社で運用する際の流れについてはこちらをご覧ください。 関連記事 現在、BtoBビジネスでもリスティング広告は重要なマーケティング手法のひとつです。リスティング広告は、企業の製品やサービスを採用する担当者に直接アプローチできるため、企業間取引における成果を向上させる効果があります。この記事では、貴社の[…] |
広告運用代行とは
広告運用代行とは、企業や個人の広告活動を専門知識を持つ外部サービスが代行することで、効率的かつ効果的なマーケティングを実現する仕組みです。一般的には、Web広告の運用代行を指し、リスティング広告やディスプレイ広告、SNS広告などを一元的に管理することで、より効果的な広告戦略の展開が可能となります。
一方、社内に広告担当者を置き、Web広告の運用や管理を行うことを「インハウス運用」と言います。インハウス運用を行うには、社内で広告運用を行うための体制を整える必要がありますので、これらの業務を広告運用代行に任せることで、時間やリソースを有効に活用できるようになります。
リスティング広告代理店とはリスティング広告代理店は、企業のオンライン広告運用を効率化し、最大限の効果を引き出す専門企業です。ターゲティング精度の向上やキーワード選定、予算管理などを通じて、マーケティング目標の達成をサポートします。専門的な知識に基づいた適切な運用代行により、安定した広告効果をもたらします。 |
広告運用代行が必要な理由とそのメリット
広告運用を外部に委託することで、多くのメリットがあります。
専門知識とスキルの活用
広告運用代行を利用することで、広告のアプローチを最適化し、その効果を最大限に引き出すことが可能です。Google広告をはじめ、Yahoo広告、Microsoft広告、Facebook広告、LinkedIn広告など、オンライン広告プラットフォームを運用するには専門的な知識と豊富な経験が求められます。これらを自社内で賄うのは容易ではなく、効果的な管理や改善が行えないことがあります。広告運用代行を活用すれば、プロの運用者による戦略的アプローチが受けられ、より優れた結果を得る可能性が高まります。運用状況を詳細に分析し、迅速かつ正確な改善策を提案することで、広告パフォーマンスをさらに向上させることができます。
高度な広告運用とトラブル対応
また、広告運用の専門家に依頼することで、高度で精密な管理が実現し、予期せぬ変更やトラブルにも柔軟に対応できるため、安心して運用を委託できるのも大きなメリットといえるでしょう。例えば、AIによる審査の誤りで広告が停止された場合や、他社広告が自社の商標を侵害しているため広告配信の停止を依頼したい場合でも、広告運用代行会社が間に立って対応してくれます。
リソースの有効活用
広告運用代行の活用は、単に広告の効率を向上させるだけでなく、社内リソースの有効活用にも大きなメリットをもたらします。自社で広告運用を行う場合、多くのリソースを投入する必要がありますが、代行サービスを利用すれば、スタッフは他の重要な業務に専念することができます。特に中小企業では、限られた時間や予算の中で成果を上げる必要があるため、専門家に運用を依頼することで、費用対効果の高い広告戦略を実現できます。その結果、広告費用の無駄を減らし、企業の売上や認知度向上に繋がります。
- 運用状況を詳細に分析し、迅速かつ正確な改善策を提案することができる
→ 広告パフォーマンスをさらに向上させることが可能 - 直接プラットフォームや競合とやりとりする必要がない
- 代行サービスを利用することで、スタッフは他の重要な業務に専念できる
→ 自社で広告運用を行う場合、多くのリソースを投入する必要がある
広告運用代行を利用することによるデメリット
広告運用代行のデメリットについても確認しておきましょう。
コスト増の懸念
広告運用代行を利用する際、避けて通れないのがコスト負担です。専門的なスキルやノウハウを提供する代行業者には、それ相応の料金が発生します。自社での運用に比べてコストが高くなることが一般的で、長期契約では、短期間で成果が見えない場合でも継続的に費用が発生するリスクがあります。特に、売上や流入成果が十分に現れる前に運用コストが予算を圧迫する可能性もあります。そのため、広告運用を委託する際には、慎重な計画と予算管理が必要です。
企業の意向を反映するためのコミュニケーション
広告運用代行を利用する際に懸念されるもう一つのポイントは、企業の意向が十分に反映されない可能性があるという点です。外部業者が企業のマーケティング方針や独自の価値観、業界特有の要件を完全に把握するのは容易ではありません。
例えば、企業が技術力の高さをアピールしたいと考えていても、広告代理店が「お問い合わせの件数目標」しか知らされていない場合、低コストを強調した広告文を作成し、企業の意図とは異なる問い合わせを増やしてしまうトラブルに繋がります。これは、広告運用代行会社と企業間のコミュニケーション不足や、期待する方向性の共有不足が原因です。その結果、企業価値やブランドイメージと一致しない広告キャンペーンが展開される可能性もあります。
こうした失敗を避けるためには、事前の綿密な打ち合わせと計画が欠かせません。
- 目的設定、ターゲティング、運用方針について相互理解を深める
- 業者選定時には透明性を重視し、企業の意向が忠実に反映された広告運用を実現するための選択を行う
広告運用代行の選定と活用は、慎重かつ計画的に進める必要があります。自社と広告運用代行業者の間で齟齬が生まれないよう目的・目標、ブランドイメージについて共有することが大切です。
〈確認・共有をお勧めするポイント〉成果の指標 製品とビジョン ブランド |
- 自社での運用(インハウス)に比べてコストが高くなることが一般的
→ 専門的なスキルやノウハウを提供する代行業者には、それ相応の料金が発生する - 企業の意図とは異なる問い合わせが増えることがある
広告運用代行選びのポイント
運用実績の確認
広告運用代行を選ぶ際には、まずその会社の実績を確認することが重要です。過去の成功事例や顧客からの評価を通じて、信頼性や期待される成果を判断することが可能になります。例えば、リスティング広告に注力したい場合、その分野で豊富な実績を持つ代行会社を選ぶことが推奨されます。
- 広告運用代行会社のWebサイトを調べる
→ これまで手掛けたプロジェクトや、業界特有の専門性を把握する
→ 公開されている成功事例を基に、使用された戦略や手法を分析する
このような調査により、信頼のおける代行会社を選定する手助けとなるでしょう。
弊社クライアント様インタビューついてはこちらをご参考ください。 関連記事 GoogleAnalyticsは、Googleが提供しているWebサイトのアクセス状況を解析するためのツールです。従来のGoogleAnalyticsは2023年6月30日以降順次計測を終了し、今後はGoogle Analytics4([…] |
ニーズとの適合性
企業ごとに広告運用の目的やターゲット層は異なります。そのため、選ぶべき代行会社が提供するサービスが自社のニーズに合致しているかを確認することが重要です。
- 業界やビジネスモデルに精通したパートナーを選ぶことが成果最大化の鍵
→ BtoB企業とBtoC企業では戦略やアプローチが異なる - 業界特有のトレンド、市場動向、法規制、ターゲット層の特徴を理解する
→ 精度の高いターゲティングや広告運用が可能になる - 業界知識が不足すると、成果が上がりづらくなる恐れがある
→ 的外れなキーワード選定や不適切な広告表現が行われるリスクがある
料金体系の透明性
広告運用代行を選定する際、料金体系の透明性が非常に重要です。
- 不明確な料金体系は、予期しない追加費用や隠れたコストを引き起こす
→ 信頼関係を損なう原因になる
→ 費用対効果を正確に評価することが困難になる - 契約前に料金内容を明確に理解する
→ 初期費用、月額費用、成功報酬型などの料金体系 - ランディングページ制作費用やツール使用料など、追加費用の詳細を確認する
→ 想定していない不意のトラブルや予算オーバーを防ぐ
サポート体制の重要性
広告運用代行を選定する際に、サポート体制の評価は非常に重要です。
- 運用中のトラブルや疑問に迅速に対応してもらえる
- 専門的なアドバイスを受けることができ、広告運用の効果を最大化できる
- 充実したサポートにより、ストレスの軽減に繋がる
→ 定期的なミーティングで運用状況を確認
→ 詳細なレポートで進捗を共有 - チャットや電話で迅速に連絡できる体制が整っていれば、急な対応もスムーズに行える
→ 運用改善や新たな提案をタイムリーに導入可能
サポートが手厚い広告運用代行を選ぶことで、広告戦略を効率よく実行し、企業のパフォーマンス向上を支援する環境が整います。その結果、集客や売上の向上に注力できるようになります。
広告トレンドの情報収集と理解
近年、AIがオンライン広告の分野にも活用されています。例えば、リスティング広告の広告文やキーワードを自動生成したり、ユーザーの行動パターンに基づいて運用戦略を最適化したりすることができます。また、広告配信の審査にもAIが利用されています。一見すると、広告配信側の負担が軽減されたように思えますが、実際にはコンバージョン(お問い合わせなど)に繋がったキーワードが意図しないものであったり、広告に誤った情報が掲載されるリスクもあります。そのため、運用中は必ずダブルチェックと定期的なデータ分析を行うことが不可欠です。
オンライン広告の配信仕様は頻繁に変更されるため、最新情報を取得して運用に反映させているかどうかも、良い広告代行会社を選ぶ際の重要なポイントです。例えば、Webサイトでの情報発信をチェックしたり、可能であればメールマガジンに登録して、広告の最新トレンドに触れているかどうかを確認することが有効です。
フリーランスという選択肢フリーランスに依頼することで、安価に広告運用が行える場合があり、選択肢の一つです。
対する広告代理店の違いは下記の通りです。
広告代理店やフリーランスに依頼する際は、契約条件やコミュニケーション体制を明確に定めることが不可欠です。納期、予算、責任範囲などを具体的に記載した契約書を作成し、定期的なミーティングや進捗報告のルールを設けることで、プロジェクトをスムーズに進行させることができます。 それぞれの特徴を十分に理解し、自社の目的や状況に応じた最適な選択をすることが重要です。 |
弊社はBtoB企業向けに特化したデジタルマーケティングのサポートを行っています。主なクライアントは製造業のメーカーや販売代理店、建材メーカーなどで、30年以上にわたって業界に携わっています。長年の経験により、BtoB業界の知識や慣習に精通していることが強みです。 |
成功するWeb広告依頼のポイント
効果的な広告依頼の流れ
広告代行を活用し効果的な運用を行うには、自社でも具体的な手順を理解し、目標設定や戦略立案を行うことが重要です。
1. 初回相談・明確な目標設定
Web広告にはさまざまなプラットフォームがあり、それぞれに特徴があります。初回相談では、自社の目標や目的、製品・サービスの内容、市場規模などを具体的に共有することで、広告運用代行会社からより適切な提案を受けやすくなります。
- 現状の課題や悩みを整理する
→ ターゲットユーザーや競合分析を初期段階で行い、効率的な運用計画を構築することが可能になる
例)「〇〇という製品を〇カ月で〇個販売したい」といった具体的な目標があれば、代行会社はその目標に合わせて、最適なプラットフォームや戦略を提案できる
初回相談の段階では、例えば「Microsoft広告のリスティング広告を実施したい」といった具体的なプラットフォームや広告の種類を決定する必要はありません。それは、「どのような広告を出したいか」より「なぜ広告を実施したいのか」という目的の方が重要だからです。その目的に合ったWeb広告を選定することが、自社の課題解決に繋がる最も効果的なアプローチとなります。
2. 戦略プランニング -KPIの設定-
初回相談で得た情報を基に、具体的な広告手法やメディアの選定を行います。この段階では、無駄を排除し、最大の成果を上げるための計画を立てます。
例えば、BtoB商材の場合にはリスティング広告を中心に展開し、認知度向上を目指す場合にはディスプレイ広告を活用するなど、目的に応じた戦略を設計します。ターゲット層や市場に合わせた具体的なプランニングを行うことで、目標達成の確実性が向上します。
また、この段階でKPI(重要業績評価指標)を設定します。KPIは成果を測る指標のことで、例えば、お問い合わせを増やしたい場合は、広告からWebサイトへの問い合わせ件数がKPIとなり、認知度アップが目的であれば、インプレッション数がKPIとなります。KPIを明確にすることで、広告運用代行会社と自社との間に成果に対する共通認識が生まれ、効果的な運用が可能となります。双方が納得できるKPIを決めましょう。
3. 予算設定と見積もり確認
広告効果を最大化するためには、適切な予算設定が不可欠です。
ROI(投資収益率)を意識した予算設計により、安定した収益性を確保することができます。例えば、月間広告費の上限を明確に設定することで、予算超過を防ぎ、計画的な運用が可能になります。
見積もり内容については、キーワード調査、広告作成、運用手数料などの項目を詳細に確認し、納得した上で契約を進めることが重要です。見積もりが具体的な運用プランと一致しているかを確認することで、双方の期待値のすり合わせがスムーズになり、良好なパートナーシップを築くことができます。
4. 広告運用開始とパフォーマンス改善
広告運用開始時には、決定したKPIを基に進捗や成果を定期的に評価することが重要です。具体的には、クリック率(CTR)、コンバージョン率、ROAS(広告費対効果)などを用いて運用データを分析します。
PDCAサイクルを定期的に回し、データに基づいた改善を継続することで、長期的な広告パフォーマンスの向上が期待できます。また、コンバージョンを促進する訴求ポイントの特定や、競合との差別化も重要な要素です。
さらに、広告運用で得られるデータは、広告施策だけでなく、自社のWebサイト改善にも役立ちます。例えば、キーワードや画像、バナーなどのクリエイティブ要素について、ユーザーの反応(クリック率やコンバージョン率)を定量的に分析することで、Webサイト全体の集客力や顧客満足度の向上にも貢献します。
リスティング広告代行の流れ
リスティング広告を例にとって、広告運用代行の具体的な流れをご紹介します。
1. キーワードの選定
適切なキーワード選定は、リスティング広告の成功を左右する重要な要素です。
- 広範なキーワードは競争が激しく、無駄なクリックが発生するリスクがある
- 需要のないキーワードでは広告が表示されない
→ Googleの「キーワードプランナー」を活用して、検索需要を正確に把握し、効果的なキーワードを選定する
効果的なキーワードの選び方についてはこちらをご覧ください。 関連記事 ユーザの検索キーワードに対して広告を配信するリスティング広告の特性上「キーワード選び」は非常に重要です。最近ではGoogleのスマートアシストキャンペーンのように、目的やリンク先などのいくつかの情報を設定するだけでGoogle広告を開始[…] |
2. 広告予算の算出とプラットフォームの選定
キーワードの検索需要に基づいて予算を設定します。
- すでに予算が決まっている場合は、その範囲内で最適なキーワードを選ぶ
- プラットフォーム(Google、Microsoft、Yahooなど)の選定をする
3. 広告文の作成
ターゲットユーザーのニーズに合わせた魅力的な広告文を作成し、効果的に訴求します。
- 自社の強みを具体的にアピールする
→ ユーザーの行動を促す文言(CTA:コール トゥ アクション)を工夫する - 曖昧な表現や企業の実態に合わない内容は避ける
→ ユーザーの信頼を損なう原因となる
4. ターゲット設定
年齢、性別、地域、時間帯などの属性で配信対象を絞り込み、広告の精度を高めることで、リード獲得の効率を向上させます。
- 各プラットフォームによってターゲティングの設定方法が異なるため、適切な設定を行うで広告効果を最大化する
→ Microsoft広告では業種や職種に基づくターゲティングが可能
5. タグ設置とコンバージョンポイント設定
リスティング広告では、Webサイトにタグを埋め込む必要があります。これにより、自社のWebサイトを訪れたユーザーやコンバージョン件数などを把握することができます。
- Googleが提供する無料のタグ管理システム「Googleタグマネージャー」を活用する
→ タグの追加・削除・管理が簡単に行え、非常に便利
※海外が本社のWebサイトなどでタグの埋め込みが難しい場合もあると思います。タグがなくても広告配信は可能ですが、タグを埋め込むことでより正確な成果分析ができます。
コンバージョンポイントは、どの地点で成果を測定するかを示すもので、リスティング広告のKPIや目標に基づいて設定します。
- カタログダウンロード、デモの予約、製品問い合わせなど、目標とする成果地点を決定する
6. 広告アカウントの身元確認
Google広告やMicrosoft広告では、広告アカウントの身元確認が求められます。これは、広告配信を行う個人や企業の信頼性を確認し、広告の透明性を保つために実施されています。
- 企業の場合、登記簿謄本などの書類提出が必要となる
→ 履歴事項全部証明書はオンラインで請求でき、通常は1週間程度で取得可能
詳細はこちらをご覧ください。 関連記事 Google広告より身元確認を求めるメールや通知が届くことがあります。特に予告などがなく突然通達されるため、初めはどんな内容か、何をしなければいけないのか戸惑うかもしれません。この身元確認は放置してしまうと、強制的にアカウントが一時[…] |
7. 広告配信
広告を実際に配信し、コンバージョンテストを行って、正確に計測できるか確認します。
- 管理画面で配信状況を確認する
→ 広告プレビューにより、広告がどのように表示されるかをチェックする
※弊社では、クライアント様にも管理画面を共有し、配信状況を把握していただけるようにしています。
8. 運用後のフォローアップと効果測定
広告運用後も定期的なレポート分析と改善が重要です。
- リスティング広告のクリック率やコンバージョン率を基に、キーワードや広告文、ターゲティングの見直しを行う
→ 継続的に効果を最大化する
定例会を実施し、広告運用代行会社と自社との間で認識に齟齬がないかを確認し、すり合わせを行いましょう。
まとめ
広告運用代行は、専門知識を持つ業者が企業の広告活動を効率化するサービスで、リスティング広告やSNS広告などを最適化します。主なメリットとして、専門的な運用による効果的な広告配信や、社内リソースの確保が挙げられます。一方で、コスト負担の増加や、企業の意向が反映されにくいリスクもあります。代行業者を選定する際は、実績、料金体系、サポート体制の透明性をしっかりと確認することが重要です。適切な代行会社を選び、密にコミュニケーションを取ることで、効果的な広告運用を実現しましょう。
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