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【Google広告】拡張クリック単価(ECPC)終了 広告運用に与える影響と今後の戦略

【Google広告】拡張クリック単価(ECPC)終了 広告運用に与える影響と今後の戦略

Googleは「検索広告およびディスプレイ広告での拡張クリック単価の終了」を発表し、2024年9月6日頃からGoogle広告アカウントに通知が届いています。

入札戦略のひとつである拡張クリック単価(拡張CPC、ECPC)の廃止は、Google広告運用者にとって重要な変化です。手動入札の設定を基にした拡張クリック単価は、自動入札戦略が主流になった今でも多くの利用者が存在しており、このニュースは業界に大きな影響を及ぼしています。

今回は、拡張クリック単価の終了が広告運用に与える影響と今後の戦略について解説します。

■「拡張クリック単価」終了までのスケジュール

Google広告の検索広告とディスプレイ広告の新規キャンペーンでは、拡張クリック単価(ECPC)が、2024年10月より選択することができなくなります
拡張クリック単価を使用しているキャンペーンについては、2025年3月まで継続して使用できます。
2025年3月以降は、拡張クリック単価を使用している検索広告とディスプレイ広告のキャンペーンは個別クリック単価入札戦略に自動的に移行されます

■「拡張クリック単価」終了の背景

Googleでは拡張クリック単価の終了理由として、目標コンバージョン単価を設定できる「コンバージョン数の最大化」や、目標広告費用対効果を設定できる「コンバージョン値の最大化」など、より高いパフォーマンスが期待できる機械学習を基盤とした自動入札機能を活用するよう説明しています。

■「拡張クリック単価」とは?

ここであらためて、「拡張クリック単価」について説明します。

拡張クリック単価(ECPC)は、過去のパフォーマンスデータからコンバージョンを達成する可能性が高い(または低い)キーワードに対して、手動で設定した個別の入札単価を自動的に引き上げて(または引き下げて)調整します。これにより、全体のコンバージョン率が向上する可能性が高まります。
例えば、個別クリック単価では予算が不足していたため広告表示ができなかったキーワードに対し、拡張クリック単価を用いることで入札単価を引き上げ、広告を表示させることが可能になります。

個別クリック単価と拡張クリック単価

拡張クリック単価ではコンバージョンを最適化する際に、平均クリック単価が、設定した上限クリック単価を超えないように調整します。

参照元:Google広告ヘルプ – 拡張クリック単価(eCPC)について

■「拡張クリック単価」を選択していた理由

広告キャンペーンを作成する際、デフォルトの入札戦略が自動入札であるにもかかわらず、なぜあえて拡張クリック単価を設定したのでしょうか。

「拡張クリック単価」の特徴は、「個別に入札単価を設定」でき、「コンバージョンの可能性を向上させる」点にあります。このため、「個別クリック単価」と「コンバージョン数の最大化」の中間的な立ち位置にあり、双方のニーズに応える存在といえるでしょう。
良いところを兼ね備えた「拡張クリック単価」は、多くの運用者に重宝されていたのではないでしょうか。

手動入札と自動入札の中間

「拡張クリック単価」を活用する状況

実際に、拡張クリック単価を活用するシチュエーションには具体的にどのようなものがあるでしょうか。以下はその一例です。

  • コンバージョンの質が高いキーワードごとに入札単価を調整したい場合
  • 特定のキーワードで上部掲載を狙いたい場合
  • 営業戦略に基づいて、ユーザー属性や地域ごとに細かく調整したい場合
  • 「コンバージョン最大化」を活用すると質の低いコンバージョンが増える可能性があるため

ビジネス目標に直接結びつく可能性のある、高品質なコンバージョンを促すキーワードに対して、入札単価を調整するためには、拡張クリック単価が非常に効果的と言えます。

■「拡張クリック単価」終了後の運用法

それでは、『拡張クリック単価』が終了した場合、代替として考えられる戦略にはどのようなものがあるでしょうか。

入札戦略の見直し

・自動入札戦略の見直し

Googleは「拡張クリック単価」の終了にあたり、代替の入札戦略として「コンバージョン数の最大化」や、「コンバージョン値の最大化」を推奨しています。

また、「目標コンバージョン単価」、「目標広告費用対効果」など、他の自動入札戦略への移行も考慮する必要があります。

過去のパフォーマンスデータに基づいて最も効果的な自動入札戦略を分析した上で、それぞれの戦略の特性を理解し、適切に選定し運用することが重要です。

参照元:Google広告ヘルプ – 自動入札機能について

・手動入札へ移行

キーワードごとに単価調整が必要な場合は、「個別クリック単価」に移行し、手動でCPCを設定します。特にコンバージョンが高いキーワードには、より高い入札単価を設定します。

手動入札の場合、キーワードの競争状況をリアルタイムで把握し、入札額を細かく調整する必要があります。

※拡張クリック単価を使用しているキャンペーンは2025年3月以降、個別クリック単価入札戦略に自動的に移行されます。

新たな戦略の模索

リマーケティングキャンペーンを実施し、サイトを訪れたがコンバージョンに至らなかったユーザーに再訪を促す広告を配信します。また、特定の行動をとったユーザーを対象にしたカスタムオーディエンスを作成し、ターゲットを絞ったキャンペーンを行います。過去の訪問者をターゲットにすることで、コンバージョンを狙いやすくなります。

ディスプレイ広告動画広告など、多様な広告フォーマットを積極的に活用し、より多くのユーザーにアプローチする戦略が求められるでしょう。

拡張クリック単価終了後

「拡張クリック単価」が終了した場合でも、手動入札や他の自動入札戦略を活用して柔軟に対応することが重要です。また、キーワードや広告文の見直しを通じて、広告キャンペーンの継続的な最適化とユーザー行動の深い理解が成功の鍵となります。

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■「拡張クリック単価」が終了することでの影響

拡張クリック単価(ECPC)が廃止された場合、業界や広告運用に与える影響は以下のように推察されます。

競争環境の変化

自動入札戦略はデータが多いほど精度が向上しますが、予算が少なく過去のコンバージョンデータが少ない場合、成果が出るまでに時間がかかることがあります。このため、少額の予算で運用する場合、以前ほどの費用対効果が得られない可能性があり、参入ハードルが高くなる懸念があります。

また、自動化が進むと、特定のキーワードでの競争が激化し、クリック単価が上昇する可能性があります。そのため、広告予算に余裕のある大手企業は手動入札でも有利に戦える一方、中小企業は競争で不利になることが懸念されます。

パフォーマンス分析の重要性

手動での入札や新しい入札戦略を導入するためには、過去のデータ分析がますます重要になります。広告運用者はデータに基づいて戦略を構築しなければなりません。

また、新たな入札戦略や手法を学ぶ必要があるため、企業内での教育やトレーニングが重要になります。しかし、運用者のスキル向上が求められる一方で、リソース不足に陥る中小企業は競争で不利になる懸念があります。

■まとめ

運用者にとって非常に重宝されていた「拡張クリック単価」ですが、手動入札または自動入札に完全に切り替えると、適切なコントロールが難しくなり、コストや作業面で大きな負担がかかる可能性があります。

また、広告成果に大きな影響が及ぶことも予想されます。広告運用者は、データ分析を駆使してターゲットを最適化し、新しい戦略やツールに適応しながら、柔軟に運用方法を見直すことが広告の効果を最大化する鍵となるでしょう。

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