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BtoBマーケティングの媒体活用ガイド|オンライン×オフラインの使い分けと効果的戦略

BtoBマーケティングの媒体活用ガイド|オンライン×オフラインの使い分けと効果的戦略

BtoBマーケティングでは、ターゲット企業や担当者に効率よくリーチするために、さまざまな媒体を戦略的に組み合わせることが重要です。

オンライン広告やSNS、リスティング広告などのデジタル施策は即効性とデータ活用に優れ、オフラインの展示会や業界誌広告は信頼醸成やブランド向上に効果的です。

本記事では、ミクロ/マクロ、プッシュ/プルの視点から媒体を分類し、BtoBマーケティングにおける最適な活用方法や効果を具体例とともに解説します。 施策の組み合わせや広告費の傾向も踏まえ、ターゲットやフェーズに応じた実践的なマーケティング戦略の参考にしてください。

BtoBマーケティングの基本知識については、こちらの記事をご覧ください。

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マーケティング媒体の基本的な考え方

BtoBマーケティングにおいて「どの媒体を使うか」は成果を大きく左右します。特にアプローチの「粒度」と「到達範囲」を理解しておくことで、自社に最適なチャネルを選択しやすくなります。ここでは、代表的な分類である「ミクロ」と「マクロ」の考え方を解説します。

ミクロとマクロ

マーケティング施策は、狙う対象の範囲によって「ミクロ型」と「マクロ型」に分けられます。それぞれが持つ役割と効果を理解し、目的に応じて使い分けることが重要です。

◆ ミクロ型

特定のターゲット企業や担当者に向けて、直接的かつ個別にアプローチする手法です。短期的に案件化を目指す場合に有効です。

〈例〉営業リストを活用したアプローチ、テレアポ、ダイレクトメール(DM)、インサイドセールス
〈使い方〉ターゲット企業を選定し、パーソナライズされた提案や情報を提供することで関係性を構築。課題感が強い顧客に刺さりやすく、商談化率を高めやすい。

〈BtoBマーケティングにおける効果〉

  • 顕在層(すでに課題を認識している企業)に対して即効性が高い
  • 商談化までのリードタイムを短縮できる
  • ただしアプローチ数に限界があり、スケーラビリティは低い

◆ マクロ型

業界や市場全体に対して広く認知を広げる手法です。潜在層との接点創出やブランド力向上に効果を発揮します。

〈例〉展示会出展、業界誌広告、SNS広告、オンラインセミナー
〈使い方〉自社の存在を幅広く認知させ、将来的にニーズが顕在化した際に選ばれる「第一候補」として想起される状態をつくる。

〈BtoBマーケティングにおける効果〉

  • 潜在層(まだ課題を顕在化していない企業)との接点を増やせる
  • ブランド認知や市場における信頼性向上につながる
  • リード獲得の効率は低い場合もあるが、中長期的な資産となる

【ミクロとマクロの比較】

項目ミクロ型マクロ型
対象範囲個別企業・担当者業界全体・市場全体
主な施策テレアポ、DM、インサイドセールス展示会、専門誌広告、SNS広告、ウェビナー
BtoBでの効果顕在層への即効性が高い
・商談化率が高い
潜在層への接点創出
・ブランド認知の向上
デメリット・アプローチ数に限界
・効率化にはツール活用が必須
・短期的な成果が見えにくい
・投資対効果の把握に時間がかかる

BtoBマーケティングにおいては、

  • ミクロ型即効性重視:個別顧客に深く入り込み、商談化を狙う
  • マクロ型長期戦略重視:市場全体に広く認知を広げ、ブランドを強化する

という整理ができます。
実際の施策では、この両者を組み合わせることで「新規開拓」と「市場浸透」を同時に実現できる点が最大のメリットです。

プッシュとプル

マーケティング施策は、自社から積極的に働きかける「プッシュ型」と、顧客から自然に関心を持たせる「プル型」に大別できます。それぞれの特徴を理解することで、目的に応じたチャネル選定が可能になります。

◆ プッシュ型(アウトバウンドマーケティング)

自社から能動的に情報を届け、ターゲットに働きかける手法です。短期間で成果を出したい場合や、新規リードの母数を増やしたい場合に有効です。

〈例〉テレアポ、DM(郵送・メール)、展示会での声掛け、ディスプレイ広告
〈使い方〉
・営業リストに基づき、ターゲット企業に直接アプローチする
・展示会やセミナーで来場者に積極的に接触し、名刺やアンケートを回収する

〈BtoBマーケティングにおける効果〉

  • 短期間でのリード獲得が可能
  • 意思決定層や特定の業種に直接アプローチできる
  • 営業部門との連携がしやすく、即商談化に結びつくケースがある

◆ プル型(インバウンドマーケティング)

顧客の関心や課題意識に沿った情報を発信し、自然に問い合わせや資料請求を促す手法です。中長期的に信頼関係を築き、検討段階に入った際に有利なポジションを確保できます。

〈例〉オウンドメディア(ブログ)、SEOリスティング広告、ウェビナー、SNSでの情報発信
〈使い方〉
・業界の課題やニーズに応えるコンテンツを用意し、検索やSNSからの流入を狙う
・ダウンロード資料やホワイトペーパーを活用し、リード情報を獲得する

〈BtoBマーケティングにおける効果〉

  • 潜在顧客の段階から認知・信頼を積み上げられる
  • 顧客自身が課題を感じて検索・行動するため、リードの質が高まりやすい
  • 継続的なコンテンツ運用により、広告依存度を下げつつリードを安定的に供給できる

ミクロ×マクロ・プッシュ×プルの代表的な手法とBtoBでの効果

施策を「ミクロ/マクロ」「プッシュ/プル」の2軸で整理すると、各媒体の特徴や役割がより明確になります。以下のマトリックスでは、代表的なBtoBマーケティング手法を位置づけし、それぞれの効果や注意点をまとめました。

 プッシュ型(アウトバウンド)プル型(インバウンド)
ミクロ型(個別アプローチ)例:テレアポ、DM、インサイドセールス例:パーソナライズされた資料請求、特定企業向けのホワイトペーパー、ABM(アカウントベースドマーケティング)施策
効果:意思決定層に直接アプローチでき、短期間で商談化が可能。効果:企業ごとに最適化した情報提供ができ、検討意欲の高いリード獲得に有効。
注意点:リスト精度や担当者のスキルに依存しやすく、効率が悪化する場合も。注意点:コンテンツ準備やターゲティング精度の確保が必須。
マクロ型(市場全体アプローチ)例:展示会出展、業界誌広告、ディスプレイ広告例:SEO、ブログ記事、SNS運用、ウェビナー、リスティング広告
効果:短期間で幅広い層にリーチし、潜在顧客の母集団形成に強い。効果:中長期的に安定した流入を確保し、ブランド認知と信頼を構築
注意点:獲得リードの質がまばらになりやすく、後工程のスクリーニングが重要。注意点:成果が出るまで時間がかかるため、継続的な投資とPDCAが必要。
  • 組み合わせがカギ
    単独の施策では成果が限定的になりがち。
    〈例〉展示会(マクロ×プッシュ)で接点を作り → フォローDMやインサイドセールス(ミクロ×プッシュ)へ → 興味を持った企業をコンテンツSEOやウェビナー(マクロ×プル)で育成。
  • 短期と長期のバランス
    短期:プッシュ型で「今すぐ客」へ直接アプローチ
    長期:プル型で「将来の有望層」を継続的に取り込み、育成
  • ABM(アカウントベースドマーケティング)との親和性
    ミクロ×プル施策(ABMコンテンツ配信や企業別ウェビナー)は、意思決定プロセスが複雑なBtoBに特に有効。

オンラインとオフラインの活用バランス

BtoBマーケティングでは、オンライン施策とオフライン施策のいずれか一方に偏るのではなく、両者を組み合わせて活用することが成果につながります。ここでは、それぞれの特徴を整理したうえで、近年主流となっている「ハイブリッド型」について解説します。

オンラインとオフラインの代表的な施策

まずは、代表的な媒体を整理してみましょう。

 媒体特徴・代表例
オンラインリスティング広告顕在ニーズ層への即効性あるアプローチ
SNS広告(LinkedIn等)業種・職種などでターゲティング可能、認知から獲得まで幅広く活用
オンラインセミナー / ウェビナー効率的なリード獲得と専門知識の発信
ホワイトペーパー / ダウンロード資料見込み顧客の課題解決を支援し、リード育成に有効
SEO(検索エンジン最適化)検索結果の上位を獲得し、長期的なアクセス増加につなげる(媒体ではないが、必須)
AIO(AI最適化)ChatGPTやGoogleのAI Overviewなど、生成AI型の検索ツールで自社コンテンツが引用されることを目的とした施策
オフライン展示会・見本市短期間で大量のリードを獲得可能、対面接点で信頼を構築
雑誌・専門誌広告特定業界への深い認知獲得、ブランディングに有効
セミナー・カンファレンス高関心層に直接リーチでき、深い商談につながりやすい
DM(郵送/メール)既存リストへのパーソナライズされた訴求が可能

オンライン媒体の特徴

オンライン媒体は即効性とデータ活用のしやすさが大きな強みです。特に、リスティング広告SNS広告顕在的なニーズを持つ見込み顧客に効率的にリーチできるため、リード獲得の初期段階で有効です。

  • 即効性が高く、効果測定やデータ分析が容易
  • 広告費を柔軟に調整可能で、少額から運用開始できる
  • リスティング広告・SNS広告は、顕在層や準顕在層へのアプローチに強い
  • オンラインセミナーやホワイトペーパー施策は、リードナーチャリングにも有効
  • SEO施策は、費用をかけずに検索意図を持つユーザーへアプローチできる

特にBtoB領域では、オンライン媒体を活用することでターゲット企業の情報収集行動にタイムリーに対応でき、商談機会を増やすことが可能です。

BtoBマーケティングにおいて、運用型広告の種類や効果については、こちらの記事をご覧ください。

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オフライン媒体の特徴

一方、オフライン媒体は信頼醸成や深い関係構築において欠かせない役割を持ちます。オンラインだけでは築きにくい“人間的なつながり”を補完するのに有効です。

  • 対面での接点により、信頼関係を築きやすい
  • 大規模展示会は短期間で多数の名刺を獲得できる効率的なチャネル
  • 雑誌・専門誌は特定業界への深いリーチが可能で、ブランディングに有効
  • セミナーやカンファレンスは、専門性の高いリード獲得につながる

BtoBの購買は検討期間が長く、複数人での意思決定が行われるため、オフラインの接点は「安心感」や「信頼感」を醸成するために今なお重要です。

ターゲティングとマーケティングファネルでの位置づけ

オンラインとオフラインの施策は、対象とする顧客層やマーケティングファネルの段階によって役割が異なります。目的に応じて適切に使い分けることが成果最大化のポイントです。

ファネル段階施策例目的
認知SNS広告、展示会、業界誌広告広くターゲットにリーチし、自社の存在を知ってもらう
興味・関心オンラインセミナー、ホワイトペーパー、DM課題解決やノウハウ提供を通じて、潜在顧客を育成
比較・検討リスティング広告、個別セミナー、インサイドセールス顕在層に直接アプローチし、商談化を促進
商談・成約営業訪問、カスタマーデモオフラインの人間的な信頼関係構築が効果的

◆ ハイブリッド型が主流に

現在のBtoBマーケティングでは、オンラインとオフラインを連動させた「ハイブリッド型」が主流になっています。例えば展示会で獲得した名刺をMAツールに取り込み、メールマーケティングやコンテンツ配信でナーチャリングを行うといった組み合わせです。

オンライン施策はスピードと効率性、オフライン施策は信頼醸成とブランド構築に強みを持つため、両者を補完的に組み合わせることで、より高い成果を生み出すことができます。

◆ オンライン×オフライン組み合わせ事例

オンライン施策とオフライン施策を組み合わせることで、リード獲得から商談化までの効率を高めることができます。以下は代表的な事例です。

ファネル段階組み合わせ例内容・ポイント
興味・関心 → 検討展示会 + メールナーチャリング(MAツール活用)展示会で獲得した名刺やリード情報をMAツールに取り込み、課題に合わせた自動メールで育成
興味・関心 → 検討 → 商談オンラインセミナー + インサイドセールスウェビナー参加者にフォローアップの電話やZoom面談を実施し、商談化を促進
認知 → 興味・関心リスティング広告 + 展示会ブース誘導広告で顕在層を呼び込み、展示会で対面接点を作ることで、短期的なリード獲得と信頼醸成を両立
SNS広告(LinkedIn等) + ホワイトペーパー配布職種や業種をターゲットに広告配信し、ダウンロード資料を通じて潜在層を育成

このように、オンライン・オフライン施策は単独で実施するよりも「掛け合わせ」で相互に補完することで、BtoBマーケティングの効果を最大化できます。ターゲット層やファネル段階に応じた設計が重要です。

  • 展示会やセミナーなどのオフラインでの接点は信頼構築に強み
  • リスティング広告やSNS広告などのオンライン施策はスピードと効率、データ活用に強み
  • MAツールインサイドセールスでオンライン・オフラインを連携させると、商談化までのリード育成がスムーズ

◆ ターゲット層別おすすめ施策

顧客の検討状況やターゲット層に応じて、オンライン/オフライン施策を最適に組み合わせることで、効率的にリード獲得や育成を行えます。

ターゲット層ファネル段階オンライン施策例オフライン施策例施策ポイント
潜在層認知ディスプレイ広告、SNS広告(LinkedInなど)、コンテンツSEO展示会、業界誌広告まずは認知拡大を目的に、幅広い情報接点を作る。潜在層向けに教育コンテンツも有効。
準顕在層興味・関心リスティング広告、ウェビナー、ホワイトペーパー配布小規模セミナー、展示会でのデモ体験課題・ニーズを把握し、具体的な解決策の提示で関心を深める。MAツールでナーチャリングを開始。
顕在層検討リスティング広告(顕在キーワード)、メールナーチャリング個別商談、展示会後のフォロー面談購買意欲が高いため、直接的な提案や商談アポイントにつなげる。オフライン接点で信頼構築。
商談直前層意思決定リターゲティング広告、個別メール、ドキュメント配布訪問営業、カスタマーサクセス面談決裁者や関係者に直接訴求し、契約・導入までの最終後押しを行う。

このマトリックスを活用することで、ターゲットの購買ステージに応じたオンライン・オフライン施策のバランスを設計しやすくなります。特にBtoBマーケティングでは、単独施策よりも掛け合わせることでリード獲得から商談化までの効率を最大化できます。

◆ 日本企業の広告費の現状と傾向

企業がマーケティングに投じる広告費は、媒体ごとに変化が見られます。電通の「2024年 日本の広告費」によると、広告市場の動向は以下の通りです。

  • インターネット広告費:約3兆6,517億円で全体の50%近くを占め、依然として拡大傾向
  • 成長分野:動画広告やSNS広告が特に伸びており、BtoB領域でも無視できない存在に
  • マスメディア:TV・新聞・雑誌・ラジオは減少傾向にあるものの、ブランド認知や業界内のポジショニング強化には有効

BtoBマーケティングにおいても、この傾向は顕著です。特にオンライン広告は、顧客の検索行動や閲覧履歴に基づくターゲティングが可能なため、効率的なリード獲得に直結します。一方で、オフライン施策は信頼醸成や対面での商談促進に欠かせません。 そのため、オンラインとオフラインを組み合わせた「ハイブリッド型」のマーケティング戦略が、BtoB企業の成果最大化には有効です。

まとめ

BtoBマーケティングでは、さまざまな媒体を活用し、ターゲットや施策目的に応じて効果的に使い分けることが重要です。 本ページで解説したポイントを整理すると以下の通りです。

  • マーケティング媒体の粒度:ミクロ型(個別企業・担当者向け)とマクロ型(業界・市場全体向け)の特性を理解して使い分ける
  • アプローチ手法:プッシュ型(アウトバウンドマーケティング)とプル型(インバウンドマーケティング)の組み合わせで、効率的にリードを獲得
  • オンラインとオフライン:オンラインは即効性とデータ活用、オフラインは信頼醸成や対面接点に強み。両者を連動させたハイブリッド型が有効
  • 広告費の傾向:日本企業ではオンライン広告が成長中で、BtoBでもデジタル施策の活用が不可欠。一方、オフライン施策もブランド価値向上には欠かせない

これらのポイントを踏まえ、ターゲットやフェーズに応じて最適な媒体と施策を選択することで、BtoBマーケティングの効率化と成果向上につなげることができます。

続くステップとして、BtoBマーケティングの戦略の立て方については、こちらの記事をご覧ください。

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