「コンバージョン数の最大化」などのスマート入札戦略を導入したいけれど、うちのコンバージョン(CV)数では最適化が難しそう……」
BtoB領域、特に製造業や建築業など、CV獲得の母数が少ない業種では、このような悩みを抱える担当者も少なくありません。
Google広告では、機械学習による自動最適化が年々進化していますが、その効果を最大化するには「一定量のコンバージョンデータ」が必要です。ただ、最近では少ないCVでも活用できる方法やアプローチが確立されつつあります。
この記事では、CV数が少ないBtoB企業でも実践できる入札戦略の設定方法を解説します。
コンバージョン数が少ないアカウントでも「自動入札」は使えるのか?
Google広告では、以下のようなスマート入札戦略が提供されています。
- コンバージョン数の最大化
- 目標コンバージョン単価
- コンバージョン値の最大化
- 目標広告費用対効果
- クリック数の最大化
この中でも「コンバージョン数の最大化」は、Googleが推奨する代表的な自動入札戦略のひとつですが、過去30日間で少なくとも30件以上のCVデータがあることが推奨されています。これは、過去のデータをもとに入札を最適化する仕組みのため、CV数が十分でない場合は、入札の精度が安定しにくくなる可能性があるためです。
データ量が少ないアカウントでは、「マイクロコンバージョン」や「クリック最適化」などの段階的アプローチが依然として有効です。
マイクロコンバージョンを活用した入札戦略
お問合せ完了や資料請求といったメインCVの件数が少ない場合、それより手前のアクションをCVとして設定するのが「マイクロコンバージョン」戦略です。
〈「マイクロコンバージョン」例〉
- お問合せフォーム到達(サンクスページではなく、フォーム自体の表示)
- ホワイトペーパーのダウンロード
- メルマガ登録
- 製品カタログの閲覧ページ到達
これらを一時的に「コンバージョン数の最大化」の対象にすることで、機械学習が学習すべきユーザー行動のデータを確保しやすくなります。
「マイクロコンバージョン」については、こちらのページで紹介しています。 関連記事 BtoBマーケティングでは、商談や資料請求といった本来のコンバージョン(CV)に至るまでの件数が少なく、広告やWebサイトの改善指針に悩むことが少なくありません。そんなときに役立つのが「マイクロコンバージョン」という考え方です。この[…] |
マイクロコンバージョンの注意点
マイクロCVは「意図しないアクション」も含まれるリスクがあるため、タグの設置位置やイベントトリガーの条件を慎重に設定しましょう。
通常のCVよりも価値が低いため、目標コンバージョン単価を低めに設定するのが無難です。
クリック数の最大化による段階的アプローチ
CVに至る前の段階として、まずはトラフィックを確保することを目的とした「クリック数の最大化」も有効です。
この戦略では、Googleが自動でクリック数の最大化を図るよう入札を調整します。特に新しいキャンペーンや、CVが月に数件しかない状況では、まずクリックを通して有望なユーザー行動のパターンを蓄積することが重要です。
クリック数の最大化の活用ポイント
上限クリック単価(Max CPC)を設定しておくことで、費用対効果のコントロールも可能です。
データが一定量溜まったら、徐々に「コンバージョン数の最大化」へ移行するフェーズ設計が理想です。
スマート入札と併用すべき「シグナル設計」
少ないCV数でも成果を高めるには、スマート入札に頼るだけではなく、シグナル設計を強化することが求められます。
シグナル設定とは、Google広告の自動入札が最適なユーザーに広告を届けやすくするために、配信対象の「ヒント」となる情報を広告側から提供することです。
〈シグナル設定の具体的な施策〉
- 広告カスタマイザやオーディエンス(例:自社サイト訪問者、類似ユーザー)を積極的に活用
- コンバージョン補完のための拡張コンバージョンの実装
- P-MAXキャンペーンへの展開を検討(ただし十分な素材と測定環境が前提)
これらの取り組みにより、CVが少ない中でもより精度の高い入札判断が可能になります。
まとめ
CV数が少ないBtoB企業でも、Google広告の入札戦略を工夫することで、徐々にデータを蓄積し、自動最適化の恩恵を受けることが可能です。
- スマート入札は「段階的」に導入するのが基本
- マイクロCVの活用でデータを補完し、機械学習を活かす
- クリック重視の戦略で母集団を確保
- 入札だけでなく、配信対象や測定設計を整備することも重要
Google広告の自動化はあくまで“アシスト役”であり、人の戦略設計力との組み合わせが最も効果的なパフォーマンスを生み出します。
弊社では、自動と手動(人力)の運用を組合わせて、マーケティングの勝ちパターンだけではなく負けパターンの要因もフィードバックできる体制を整えております。